子育てアカデミー

保護者 大学 入試

こんにちは。みらぴか認定サポーターをしている松田剛典です。 普段は、大学や高校でキャリアに関する授業をしています。実際にいろんな高校や大学に訪問する中で気づいた高校や大学のリアルについてコラムを書いていこうと思います。記念すべき第一回は大学入試の変化についてです。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「センター試験」や「推薦入試」が今はなくなっていることをご存じでしょうか?

聞いたことがあっても、実は何がどう変わったのか?これから大学の入試がどう変化していくのか知らない方も少なくありません。生活様式や働き方、考え方が時代に合わせて変化していくように、大学の入試の仕組みも常に変化し続けています。 受験を控えたお子さまをサポートしたいと考えるなら、「今」の大学入試の仕組みを理解するのがおすすめです。特に国公立大学を目指すのと私立大学を目指すのでは高校時代の準備も大きく変わってきます。

この記事では、保護者にもぜひ知っておいてほしい今の大学入試の仕組みについて、昔との違いを含めて詳しく解説します。

「センター試験」がない!?イマドキの入試の仕組み

社会で求められる力が変化している

いきなり、大きな話からスタートするのですが大学入試の変化を理解するために押さえておきたいのが、これからどんな人材が社会でも求められ活躍するか?という視点です。AI など技術が発展し、社会のビジネスの仕組みが変わっています。すごく簡単な言い方をすると、働く人にとっても必要な力が変化してきているので、教育で求められる力も変化している!と思ってもらうとわかりやすいかもしれません。

具体的には、知識量を問う試験から考える力が求められています。先行き不透明な世の中に求められるのは、常に新しい知見を取り入れ、自ら考え、自ら動ける人材です。そのため今の大学入試では、蓄えた知識を利用して思考し、協力して問題を解決する能力を確認する仕組みに変化しつつあります。

センター試験を廃止し、これからの時代に合った大学入学共通テストへ

「センター試験」は、2020年度で廃止されました。1990年度から始まったセンター試験は、2021年度から「大学入学共通テスト」に名称を変更。出題される内容や傾向が大幅に見直されています。共通テストは全問マークシート方式になっており、出題方法に変更はありません。ただし出題傾向はセンター試験と異なり、「学力の三要素」を正しく判定できるよう工夫されています。例えば、英語の科目で考えると、リスニングの配点比率が上がり、文法的な並べ替えや単語・文章のアクセントを問う問題は廃止されました。毎年、1月‐2月ごろにその年の大学入学共通テストに関する分析や話題がニュースになることがあります。みていただくと問題量や内容の変化に驚くかもしれません。(将来的には、記述式問題の導入も検討されています。)

※学力の三要素とは「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」の3要素を指す。
引用:「文部科学省 高大接続改革PT

そうした中で、センター試験だけでなく、もう一つ押さえておきたいのが「一般入試」「推薦入試」「AO入試」など従来の試験も変化していることです。

一般入試は「一般選抜」へ

「一般入試」は「一般選抜」になりました。入試の中で募集人員がもっとも多く、国公立大学は募集人員の約8割、私立大学で約5割を占めます。逆に考えると今は私立大学の約5割は一般選抜ではない試験方法も導入されているということです。後ほど記述しますが、試験の成績だけではなく、高校生活の過ごし方がとても重要になっています。

国公立大学の一般選抜
国公立大の場合、
 ● 大学入学共通テスト(以下「共通テスト):1月に実施
 ● 個別学力検査(以下「学力検査」):2~3月に各大学で実施
の2つをベースに、小論文や調査書などをもとに総合的に評価されます。大学入試までの3年間は長いようで短いです。ただ、試験に向けての準備は本人のペースがあります。なかなか動き出さずにヤキモキする部分もあるかもしれませんが、これからの社会では「自分で考えて動く」ということも非常に大切になってきています。まずは信じて見守るようにしましょう。相談があった時にも正しい知識が必要!と思う必要はありません。本人に「どこまで調べたの?」と話を聞きながら一緒に考えていく姿勢が大切です。

私立大学・短大の一般選抜
私立大学・短大の場合は、1月~2月ごろ各大学で実施する個別試験で判断されます。基本的に共通テストを受験する必要はありませんが、共通テストの結果を利用して合否を決める「共通テスト利用入試」を導入している大学もあります。

受験に必要な科目は、3教科型など様々です。
 ● 文系:英語、国語、地歴・公民や数学から1科目選択
 ● 理系:英語、数学、理科

近年では入試の仕組みもバラエティに富んでおり、得意科目の配点を高くして結果を算出したり、全学部・学科で同日に同じ問題で試験を行うなど、独自の仕組みを導入しているところもあります。一つだけ、保護者として知っておいた方がいいのは、「科目数が少なくなる=求められる点数が高くなりがち」ということです。これも科目を多くしなさい!ということではなく、本人がどう考えているか?相談があった時にさりげなく質問してみるとよいでしょう。

AO入試は「総合型選抜」へ

総合型選抜は昔の「AO入試」に該当し、大学が求める人材を選抜する目的で実施される入試です。基本的に学校長からの推薦は不要で、「この大学に入学してこんなことを学びたい」という熱意や意欲、将来の目標などが重視される傾向にあります。文部科学省の指針には「大学への入口段階で入学者に求める力を多面的・総合的に評価・判定することを役割とする」と明記されており(引用:「令和5年度大学入学者選抜実施要項」第1 基本方針)、大学によってさまざまな選抜方式が導入されています。

選抜方式の例:
 ● 小論文
 ● 面接
 ● ディベート
 ● プレゼンテーション
 ● 資格や検定試験の成績・結果
 ● 学力試験(共通テストなど)

推薦入試は「学校推薦型選抜」へ

かつての「推薦入試」に該当するのが、学校推薦型選抜です。高校から推薦を受けて出願する方式で、「指定校制」と「公募制」の二種類があります。

指定校制
指定校制は、大学から指定された高校のみ出願できる仕組みで、主に私立大学で実施されます。大学が「あなたの高校を信頼していますよ」という意図で設ける制度なので、出願できれば合格率はかなり高いのが特徴です。一般選抜とは異なり、高校での学習状況や課外活動など、日頃の積み重ねが評価されます。出願条件に評定平均値が定められているケースが多く、プラスで小論文や面接が実施されるのが一般的です。

公募制
公募制一般選抜は、条件を満たせばどの高校からでも出願でき、私立大学・国公立大学ともに広く導入されています。指定校制とは異なりどの高校からでも応募可能ですが、全国の高校の生徒がライバルになるため、指定校制と比較すると合格の難度はやや高めです。このほか、スポーツ・文化活動の実績をアピールする「公募制特別推薦選抜」を導入している大学もあります。

昔とはこんなに違う!「今」の大学入試

私たちが受験勉強に臨んでいたころと今とでは、大学入試の仕組みにもさまざまな違いがあります。子どもに寄り添って受験をサポートするために、まずは具体的に名称以外で何が変わったのか説明しておきますね。

思考力・判断力・表現力を総合的に判断する

IT化の波によって情報や情勢がスピーディに変化する現代社会において、「答えは常に一つ」という状況は考えにくくなっています。予測できない将来を見据え、自分の蓄えた知識・技能を的確に分析し、状況に応じて活用する力が求められているのです。そこで昨今の大学入試では、学力のみを問う問題ではなく、「思考力・判断力・表現力」を問う問題へと変わっています。教科書や参考書に書いてあることをただ覚えるだけでは不十分で、知識をもとに考え、活用する力を養う必要があります。子育てという視点で考えると、「こうすれば良い」と伝えるのではなく「どうしたらいいと思う?」と本人に問い、自分で考える癖をつけることが重要になってきています。

大学・学部が多様化している

少子化が叫ばれて久しい昨今ですが、大学の数は増加傾向にあります。
文部科学省の最新発表によると、令和4年度の大学数は807校です。内訳は、国立大学が86校、公立大学101校、私立大学620校となっています。

比較として、2000年(平成12年)の大学数は649校でした。ここ20数年の間だけでも、大学数が大幅に増えていることが分かります。学部や学科も多様化しています。かつての大学の学部は「文学部」「社会学部」「理工学部」など漢字表記が一般的でしたが、「分かりやすい一般的な表現の重要性」という観点から、近年ではカタカナやひらがな表記の学部・学科が増えました。こうした中で大切になるのは、その時に流行りだけみるのではなく、これからの時代に必要になるかどうか?という視点で考えることです。実際に大学に行くと新設の学部の中にはとても魅力的で学びの環境が充実している大学も多くありますが、その逆もあります。しっかりとその大学に行き中身についても見極める必要があります。

カタカナやひらがな学部の例:
 ● データサイエンス学部
 ● キャリアデザイン学部
 ● バイオサイエンス学部
 ● こども心理学部
 ● 観光まちづくり学部

大学進学率が高い

大学進学率も変化しています。

令和4年度の文部科学省公表資料によると、大学の在学者数は293万1千人となっており、過去最多を記録しました。

いまや子どもの2人に1人が大学へ通う時代。将来を見据えて大学へ進学する人は、今後も増えると予想されています。一方で、人気大学の難易度は大きく変わっておらず、人気のある大学とそうでない大学の二極化が進んでいます。「少子化だから、どこでも希望の大学に入れる」というわけではなく、人気大学は相変わらず狭き門であることを理解しておきましょう。

総合型選抜が増加傾向にある

昨今の大学入試では、かつてのような「点数絶対主義」にとらわれず、多様な学生を確保するための取り組みが模索されています。このため、「人物評価」を軸とした総合型選抜を拡大する大学が私立・国公立ともに増えています。令和3年度で見てみると、全体の83.1%もの大学で総合型選抜が実施されています。国立大学では12.7%、私立大学では約半分に近い数が総合型選抜によって入学していることが分かります。

受験生にとっては、大学入試の選択肢が広がったということでもあります。一般選抜以外の方法で、得意分野を生かせるかどうかを検討してみるとよいでしょう。

まとめ|子どもの受験対策のために「今」の入試を知ることが大切

「受験戦争」などと揶揄されるほど厳しかった保護者世代にとって、子どもの大学入試は気軽には考えられない重大イベントです。必死になるあまり、かつての常識や考え方を押し付けてしまうと、せっかく頑張っている子どもの足を引っ張ってしまうかもしれません。受験対策で大切なのは、「今」の入試の仕組みを知り、適切にアドバイスすることです。常に新しい情報をアップデートしながら、大切な時期を乗り切っていきましょう。

ライター:水無瀬あずさ 監修:松田剛典

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松田 剛典

みらぴか認定サポーター
大学卒業後、ベネッセコーポレーションに入社。高校生の進路を担当する部署に配属。東海エリアの進路指導やサポートに向けた企画等に携わる。その後、岡山本社に移動。全国の高校を対象とした勉強会や情報交換会の企画運営に携わる。人材紹介会社に転職し、「早期退職者」「卒業後未内定」の方のみを対象にした就職支援に携わりながら大阪支社の責任者を担当。2009年に独立し、現在のキャリアラボを設立。小学校から中学校・高校・大学と幅広くキャリア支援のプログラムを全国で提供している。

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