受験生を持つ保護者としての経験を通じて、同じ境遇の皆さんの役に少しでも立つようなお話ができればと思います。ただし難しいことは書きません、というか書けません。どこの家庭にもある、だけど家族にとっては大切な出来事やひとときを、気の向くまま書いていこうと思います。皆さんも肩の力を抜いて読んでいただければと思います。
親譲りの自己肯定感。父親はいかにして磨いたのか
中3の娘が、失恋を鉄のような“自己肯定感”で乗り越えたのは前回の話。
・娘の恋バナがまさかの急展開! 身につけさせるべきは「自己肯定感」
実は、その記事を読んだ担当編集者さんから、「子供の自己肯定感を磨く育児法があればぜひ」というリクエストをいただきました。
育児法というほど大げさものはないのですが、優秀な遺伝子と莫大な遺産を残してやれない代わりに、自己肯定感だけは身につけさせてやりたいと、子供が生まれた時からずっと思っていました。なぜなら、自分が自己肯定感だけでここまで生きてきたと言っても過言ではないからです。
自慢じゃないですが、私には才能がありません。正確な文章力もないです。しょっちゅう漢字の使い方、間違えますから。それでも20年以上、ライター一本でやってこられたのは、「自分ならできる」という根拠のない自信があったからです。
その根拠の無い自信を生み出す源が、自己肯定感。
では私は、どうやって自己肯定感を磨いてきたのか。
それは、ただ一つ。
褒められたら素直に調子に乗る、ということ。
もっと言うと、受け入れるということです。
例えば中学生の時、修学旅行でのちょっとしたトラブルを面白おかしく作文に書いたらクラスでバカウケ。ヤンキーの番長(死語?)にも気に入られ、「お前、面白いから来なくていいよ」と、当時全員参加がノルマだった隣町の中学生とのケンカも免除というインセンティブを得たことから、「おれ、書くことで食っていけるんじゃね?」と調子に乗りました。
東京に出てきて、渋谷のファッションホテルで掃除のアルバイトをしたときも、住み込みで働いていた自称画家のおっちゃんから「あんたには才能がある」と声をかけられたことで、やっぱり調子に乗り、就職活動をせずフリーターに。実際は才能なんてなかったのですが、そのうち誰かのツテで出版社の仕事をゲットし、今に至ります。
つまり、なんでもいいから、ほめられる=成功体験を積み重ねること。偶然かもしれませんが、そうやって私の自己肯定感は磨かれていったのです。
できたら褒めること。できるまで待つこと
ここまで読んできた常識的な読者なら、「上手く行ったのは、たまたまだろう」と思うはずです。
はい。そうです。
でも、人生なんて、たまたまの連続。
一生懸命に努力したって、運が悪ければ報われません。
右に行くも地獄、左に行くも地獄。
ただ一つ大事なのは、どちらを選んだとしても、途中でブレずにやり続けること。
途中で辞めなければ失敗にも挫折にもなりません。
そのうち経験や知識が積み重なり、物事がうまく回るようになります。
ただそれだけのことしか、私はやってきませんでした。
いや、やってもいない。
ただ、流されてきただけです。
ただし、ブレずにやり続けるのはけっこうしんどい。
何度も途中で投げ出したくなりました。
それでも続けることができたのは、根拠のない自信を生み出す、自己肯定感のおかげだったのです。
「金もコネもなくても、自己肯定感があれば、なんとか生きていける」
それが私の唯一の信条です。
だから、子供が生まれた時も、親の責任として、自己肯定感だけは持たせてあげようと心に決めたのです。
そのためにしたことは、とにかく褒めて褒めて褒めまくること。
褒めて小さな成功体験を重ねさせようという狙いです。
ただし、褒めるためには、褒める材料が必要です。
ささいなことでも自分でやらせて、できた時は「すごいね!」と大絶賛。
できないときは……できるまで辛抱強く待ちます。
大事なのは、必ず成功して終わらせること。
できないままで終わらせないこと。
これがポイントです。
金メダリスト堀米雄斗選手に学ぶ自己肯定感
そのせいかどうか知りませんが、ちょっと自信過剰じゃないの?と思うくらい、強力な自己肯定感を、娘は身につけることができました。
彼の二股が発覚した時も、さんざん泣きはしつつ、翌日には「私は可愛い!大丈夫!」という根拠のない自信を支えに立ち直ったのは、自己肯定感の賜物以外ありません。
そもそも、受験勉強なんて、超強力な自己肯定感を持っていなければ乗り切れないと思います。だって、一発本番の試験に受かるかどうかなんて、神のみぞ知るというくらい予見不可能なイベント。そんな不確定な目標に向かって、何年も前から1日何時間も青春時代の貴重な時間を勉強に費やし、それどころか人生をフルベットなんて、ほんとリスキーです。
社会人なら「(合格できる)エビデンスは?」と上司に一蹴されるところです。だって、「自分なら合格する!合格しないわけがない!」と信じることに論理的な根拠なんてあるはずないですからね。
自分を信じることと、自分が信じられることは、似たような言葉であって、実は大きな違いがあると思います。
前者は意識して信じようとするとこと、後者は無意識に信じられること。つまり、感覚です。私は、これぞ自己肯定感の正体だと思います。意識して信じること頼っていては、いざという時に、危ういと思っています。
例えば、パリオリンピックのスケートボード男子で2大会連続の金メダルを獲得した堀米雄斗選手。彼は、逆転のためにはこれしかないという大技に何度失敗しても挑戦し続けました。最後の最後に成功する根拠など堀米選手自身も持っていなかったと思います。
さらに言えば、「きっとできる」と信じる意識もなかったと思います。なぜなら、信じようと思った瞬間、「できなかったらどうしよう」という真逆の意識、つまり不安が芽生えてくるはずだから。
唯一あったのは、「自分なら絶対にやれる」と信じられる感覚、つまり自己肯定感だったのではないでしょうか。
そうした鋼の自己肯定感を、我が子に身につけさせることができれば、怖いものはありません。そのためには、とにかく褒めて褒めて褒めまくってあげてください。
あとは、「きっと何があっても大丈夫、だって私の子だから」と、親自身が鋼の自己肯定感を持つこと。きっとそれに尽きると思います。
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とんび
ライター
中学生と小学生の2人の娘、妻と都内に暮らすライター兼ライターズオフィス経営者。取材で有名大学や一流企業に訪れると、「うちの子もこんなところで……」と妄想を膨らませる今日この頃。上の娘は某有名学習塾に通学中。下の娘も姉の影響で近所の個別指導塾に通い始めたところ。子供たちの塾通いが家の暮らしの中心となっている。ちなみに似顔絵イラストは上の娘が小5の時に描いてくれたもの。
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