受験生を持つ保護者としての経験を通じて、同じ境遇の皆さんの役に少しでも立つようなお話ができればと思います。ただし難しいことは書きません、というか書けません。どこの家庭にもある、だけど家族にとっては大切な出来事やひとときを、気の向くまま書いていこうと思います。皆さんも肩の力を抜いて読んでいただければと思います。
模試の結果に浮かない表情の娘
先日、娘の模試の結果が返ってきました。MARCH系の付属高校は合格可能率70%、都内トップクラスの都立高校も50%。この時期としては上出来だと思ったのですが、娘の表情は曇ったまま。
「どうしたの? こんないい結果なのに」と聞くと、娘は小さな声でつぶやきました。
「女子は不利だから」
その言葉に、私は首をかしげました。どういうこと?
娘の言葉が気になって、ネットで調べてみました。すると、東京都の公立高校には、昨年度まで全国でも珍しい仕組みがあったことを知りました。男子と女子で別々に合格者を決める「男女別定員制」です。
最初は「へえ、面白い仕組みだな」くらいにしか思わなかったのですが、もっと詳しく調べてみると、この仕組みが女子にとって不利に働いていたことが分かってきました。
NHK首都圏ナビ「都立高校入試の“男女別定員制” 同じ点数なのに女子だけ不合格?」に掲載のある調査結果によると、都内の全日制普通科高校の約8割で、女子の方が男子より高い点数を取らないと合格できなかったそうです。これを知った時、娘の言葉の意味がようやく分かりました。彼女の不安は、単なる気のせいではなかったんです。
実際、東京都教育委員会も「男女の合格最低点に差が生まれ、女子のほうが高くなる傾向がある」と認めていました。これには私もびっくり。21世紀なのに、まだこんな不平等な制度がつい最近まであったなんて。
元々は女子が不利にならないための制度だった
この仕組みがいつから始まったのかというと、なんと1950年から続いていたそうです。戦後の男女共学制導入にあたって、当時は男女で受けてきた教育に差があって、女子が不利にならないようにという配慮だったみたいです。
しかし、時代はとっくに変わっています。こんな不公平な状況が、なぜ最近まで続いていたんだろう? と思ったところ学校側にも言い分があるようです。
とある調査で、都立高校の校長先生の8割以上が「男女別定員制は必要」と答えたそうです。理由としては、「男女比のバランスが崩れると部活動に影響がある」とか、「体育の授業や行事の計画に支障が出る」といったものが挙げられていました。
確かに、そういう面もあるのかもしれません。でも、それを理由に女子に高いハードルを課すのは、やっぱりおかしいと思うんです。
私立学校の関係者からも、「男女別定員制をやめると、女子が都立校に多く行くようになり、私立の女子校が苦しくなる可能性がある」という意見があったそうです。
東京には私立の女子校が多く、男子校の2倍以上もあるんだとか。これらの学校の存続のために、女子を犠牲にしていたって言ったら言い過ぎでしょうか。
勉強熱心で成績も良いのに、女子だからという理由で高い壁を越えなければいけないなんて、なんだか納得いきません。
そう思う親や教育関係者は多かったようで、令和6年度の入試から、この「男女別定員制」は廃止になりました。それ自体は望ましいことですが、ちょっと遅いんじゃない? と言いたくなります。
「女子だから不利」と言わなくて済む日はいつ来る?
公立高校だけでなく、私立高校の様子も気になって調べてみました。NHK首都圏ナビ「私立高校入試も女子が不利? 都立高校男女別定員制から見た現実」によると、こちらも女子にとってはちょっと厳しい状況のようです。
特に、有名大学の附属高校は男子の定員の方が多いそうです。例えば、早稲田や慶應の付属・系属校では、男子の定員が1000人以上なのに対し、女子はわずか200人ほど。MARCH系の大学の付属校でも、男子が500人以上に対し、女子は200人程度だとか。
娘が「●●大学の附属高校に行きたい!」と言っていたのを思い出して、ちょっと胸が痛みました。こんな状況では、よほど優秀でないと女子は入れないのでは?
さらに、偏差値60以上の中高一貫女子校の場合、都内では高校受験を実施している学校はゼロ。最後の砦だった豊島岡女子学園も、2022年度入試からの高校募集を停止してしまいました。
こんな状況だから、女の子は中学受験をした方が良いという話も聞きます。確かに、うちの娘の同級生を見ていても、女の子の方が中学受験をする子が多かった気がします。
でも、中学受験って大変ですよね。小学生のうちから勉強漬けの日々を送るなんて。そこまでしないと、女の子は希望の高校に行けないってことなんでしょうか。
娘の「女子は不利だから」という言葉をきっかけに、今まで気づかなかった問題に目を向けることができました。
正直、一人の親がどうこうできる問題ではありません。でも、少なくとも娘の気持ちを理解し、寄り添うことはできます。それは、彼女がどんな進路を選んでも全力で応援すること。それが今の私にできることかなと思っています。
そして、日本中の受験生の女子が「女子だから不利」なんて言わなくてもいい日が来ることを願っています。
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とんび
ライター
中学生と小学生の2人の娘、妻と都内に暮らすライター兼ライターズオフィス経営者。取材で有名大学や一流企業に訪れると、「うちの子もこんなところで……」と妄想を膨らませる今日この頃。上の娘は某有名学習塾に通学中。下の娘も姉の影響で近所の個別指導塾に通い始めたところ。子供たちの塾通いが家の暮らしの中心となっている。ちなみに似顔絵イラストは上の娘が小5の時に描いてくれたもの。
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