祭りは終わった 〜合格発表の嵐を乗り越えて〜

受験生を持つ保護者としての経験を通じて、同じ境遇の皆さんの役に少しでも立つようなお話ができればと思います。今回は、いよいよ決着がついた高校受験の結果と、その波乱に満ちた一日についてお伝えします。

合否発表の日、まさかの四重奏

「祭りは終わった」

そう実感したのは、あの激動の一日が過ぎてからでした。前回お伝えした通り、合格発表の朝、我が家は息をのむ緊張感に包まれていました。中学3年の娘は4校目の受験に向かう一方で、すでに受けた3校の合格発表が全てこの日に行われるという、運命の日を迎えたのです。

ところが、その日になってさらに驚くべきことが判明しました。なんと4校目の発表もこの日行われるというのです! その日のうちに合格発表って、一体どうやって採点しているんでしょう? マークシートでもあるまいし。もしや、すでに内申書で半ば決まっているとか? あるいは解答用紙で紙ヒコーキを作り、遠くまで飛んだ人が合格とか?

冗談はさておき、4校の合格発表、しかもその4校は第1志望から第4志望なのですから、この日で全てが決まるといっても過言ではありません。運命の分かれ道がまさに目の前に迫っていたのです。

4校のうち、どれかに合格すれば御の字だよね。

そう考えれば気は楽なはずなのですが、もし全て不合格だったら? 残りの受験は3校あるとはいえ、1校は国立、1校は都立で、5教科の試験。私立の3教科対策を念入りにやってきた娘にとっては明らかに不利です。もう1校は私立ですが滑り止めで、正直言って受かっても嬉しくない。もしそこしか行くところがなければ「完敗」と言ってもいいでしょう。

そう考えると、やはり今日の4校で勝負を決めたい。そんな思いで、発表時間を待ちました。

LINEに込められた真実

発表は奇遇にも、第一志望から順に行われることになっていました。第一志望校はウェブ発表全盛の時代には珍しく、校舎にも合格者の番号が張り出されるとのこと。せっかくなので家族揃って見に行こうと思い、私は近くにたまたまあったシェアオフィスで仕事をしながら待機。4校目の受験を終えた娘を妻が迎えに行って、私と合流する予定でした。

しかし、約束の時間を過ぎてもふたりは現れません。おかしいな、と思っていると、妻からこんなLINEが届いたのです。

「行かなくてもよくなりました」

どういうことだろう?「行けなくなった」でもなく、「行かないことにした」でもなく、「行かなくてもよくなった」。つまり、行く必要がなくなったということ。実はこちらに向かう途中、ウェブで先に結果を見てしまったのだそうです。

合格した場合は、その日のうちに入学手続き用の資料を学校まで取りに行かなくてはなりません。なのに「行かなくてよくなった」ということは……。そう、つまりそういうことなのです。

第一志望校、不合格でした。

娘は乗り換え駅で結果を知るやいなや、その場で崩れ落ち、大号泣だったとか。周りの人はさぞびっくりしたことでしょう。

新時代の合格発表風景

私はせっかくなので、第一志望校の校舎まで見に行くことにしました。人混みに溢れ、嬉し泣きと悔し泣きが交錯した人間ドラマが繰り広げられているだろうと想像しながら行ってみると、意外にも閑散としていました。

確かに合格者番号は張り出されていましたが、それに目を止める親子は少なく、多くの人は足早に校舎に入っていくばかり。おそらく、ほとんどの人がウェブで合否を確認し、合格した人だけが手続きに来ているのでしょう。掲示板を見てそのまま踵を返して門を出ていったのは私だけ。かなり場違いな感じで、妻も子も来なくてよかったと思いました。

2校目以降は自宅で家族揃ってウェブをチェックすることにしました。第二志望校は夕方5時の発表。結果からいうと、見事合格でした!「見事じゃない合格なんてあるのか」と思われるかもしれませんが、スマホの画面に桜の模様と「おめでとうございます」という文字、そして「合格」の二文字が映し出された時は、頭の中でファンファーレが鳴り響いたような気持ちでした。

家の中では実際に妻と娘の歓声が響きました。今度は嬉し泣きの涙です。この感情の起伏はまさにジェットコースター。1日のうちに、こんなに極端な喜怒哀楽を味わうとは思いもよりませんでした。

3校目と4校目は夜の10時過ぎの発表となりましたが、結果はどちらも合格。翌日に行われた5校目の国立高校も合格で、6校目の私立と7校目の都立は受験を辞退しました。

こうして、我が家の受験は終わりました。まるで祭りが終わったかのような興奮の余韻と寂しさが訪れています。

事実上の全勝と言える快挙

最終結果は以下の通りです。

第一志望(某私立大学附属女子校)=不合格
第二志望(某私立大学附属共学校)=合格
第三志望(某私立大学附属共学校)=合格
第四志望(某私立大学附属共学校)=合格
第五志望(某国立大学附属女子校)=合格
※1校=合格したが進学予定ないため辞退、2校=受験辞退

娘は「全勝を狙う」と言っていましたが、私としては事実上の全勝だったと思います。というのも、第一志望は相当な難関で、都内の高校受験ができる女子校としては事実上のトップ。直前まで合格圏外だったところが、思いがけないがんばりで合格圏内に入ったばかりに、「もしかして?」と期待してしまったのですが、もともと記念受験のつもりだったので、カウントしなくてもいいでしょう。

ただし、同じ塾の、普段の成績が娘より下の女子が合格していることを考えると、もしかしたら内申書の欠席日数などが影響した可能性はあります。しかし、後の祭りですし、校風的にも経済的にも我が家には合わないと思うので、不合格でむしろ良かった……というのは強がりに聞こえるでしょうか。

本命は第三、第四志望校でした。こちらは、よほどのミスがなければ合格できるだろうという目算がありました。第二志望はがんばれば合格できるかもというレベル。だから、落ちても仕方ないと思っていましたが、まさかの合格です。文句なし。御の字どころか満額回答といったところでしょう。

しかし、なぜこれほどの結果を出せたのか。私は受験のプロではありませんが、素人なりに分析してみると、かなりレベル高めの第一志望校を本気で目指したことが大きかったのではないでしょうか。結果的には不合格だったものの、学力が底上げされ、第二志望校以下全勝という結果につながったのだと思います。

ではなぜ娘はそこまで本気になれたのか。これは以前にも書きましたが、文化祭を見に行ったことが大きいと思います。校舎の雰囲気、きらきらと輝く先輩たち。「あんなふうに私もなりたい!」と具体的な成功イメージを持てたことが、ギリギリまでの頑張りにつながったのでしょう。現場を見に行くことって、本当に大事なんだなと実感しました。

いずれにせよ、大学の付属校に合格したことで、もう受験をする必要がないのは心から安心です。私立大学の附属校なので学費はかかりますが、都内在住者はある程度まで補助してもらえますし(2025年2月時点)、大学受験の塾代がかからないので、経済的には公立から大学受験するのとトントンではないでしょうか。精神的には圧倒的に付属校のほうが楽だと思いますし、受験を気にせず3年間の時間を有意義に過ごせるのは子どもにとっても大きなメリットです。

もう、あんな苦しい生活はさせたくありません。キラキラJKライフを満喫してほしいと思います。

しかし、親としては合格してからが一仕事です。入学に関わる諸手続き、率直に言えば「お金」の工面ですね。これについては次回、じっくりとお話ししたいと思います。そして、娘の恋の行方についても……。

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とんび

ライター

中学生と小学生の二人の娘を持つライター兼ライターズオフィス経営者。都内在住。上の娘の高校受験を控え、毎日気が気でない日々を送っている。夜中に娘の部屋の明かりが消えるのを確認してから眠る日々が続いている。

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