今回みらぴかでコラムを書いていただく吉野陽子さんにインタビューをしました。
現在は高校生の就職支援のお仕事をしている吉野さん。
キャリアコンサルタントであり、2児のお母さんでもある吉野さんが、どんな想いで高校生のキャリア支援に取り組まれているのか、どんなことを伝えていきたいかを伺いました。
最初から見つけたわけではなかった天職
Q:まず吉野さんのご経歴について教えてください。
吉野さん:
実は最初から今の仕事に就こうと思っていたわけではなく、経験の中で「やりたいこと」が徐々に明確になっていきました。
元々ファッションがすごく好きで、高校時代はファッション系の専門学校に行きたいと考えていました。しかし、当時母からすごく反対をされて揉めてしまい…。
母は国立大に行ってほしいという思いが強かったので、興味のあった心理学専攻で国立大学に進学しました。
今の高校生支援の仕事でも「親から反対されている」という悩みを生徒から聞くことがありますが、私自身も経験をしているので気持ちがよくわかりますし、親となった今だと当時の親の気持ちも少し理解できる部分はあります。
大学進学後もファッションへの興味がなくなったわけではなく、アパレル店員のアルバイトをしていました。
そこから就活はアパレル一択。「ファッションが好き」「アパレルに行くんだ!」と突き進み念願のファッション関係の仕事に就きました。
最初に配属された店舗はゆっくり1人1人を接客出来て幸せに楽しく仕事をしていたのですが、配属2店舗目は渋谷のとても大きな店舗。とにかくたくさん人が来るのであまりに忙しく、じっくり接客もできなってしまい…。終電で帰ることが続いたこともあり、退職を選びました。
アルバイトで経験をしていたので、ミスマッチはないと思っていたのですがそうではなくて…
ただ、アパレルの仕事を通じて、「人の成長に関わる」仕事が楽しいということに気付くことができました。1年目でも新人教育の仕事を任されて、これをやったら、これができるようになって、独り立ちをさせていくということに面白みを感じて。自分なりに工夫をしたりして、情熱を注げたのですよね。
小学生向けの学習教室の仕事に転職しましたが、残念ながらリーマンショックが起こり、1年で事業は撤退。契約社員だった私もそこで契約終了になりました。当時はショックな出来事だったので、そこからはやりたいことよりも生活を優先して仕事を選択してきたのですが、結果的に希望する業務が舞い込んで関わることが出来ていました。
転機となったのは前職で人事の採用担当と研修担当の仕事に就いたことです。
休みの日もこの分野を勉強したい!どんどんその分野に詳しくなってスペシャリストになっていきたいと思えることにようやく出会えたという感じがしました。
Q:アパレルの経験で教育、人の成長というところに興味を持って、それがそれからのお仕事にも繋がっていっていますね。そこからどんなきっかけで現在の高校生の就職支援を始められましたか?
吉野さん:
大学卒業後は東京で働いていたのですが、出産後のタイミングで地元の秋田に家族で移住をしました。
秋田でもキャリアに関する仕事をしたい、高校生の時に葛藤した経験や人事で採用に関わっていた経験が活かせると考えてこの仕事に就きました。
今は実際に高校生と面談をしたりして就職活動のサポートをしています。
対応している高校生の中には「やりたいことがない」と話す生徒もいるのですが、経験のない中で自分の適性に合った仕事に就き、やりたいことを見つけることはそう簡単ではありません。経験からやりたいことに近づいていったこれまでの経験を踏まえ、生徒たちのひとりひとりの話を聞いて、進路を決めていくサポートに活かされています。
キャリア教育を行う中でのやりがいと葛藤
Q:日々高校生と相対している中でどんなことを感じていますか?
吉野さん:
非常に面白いと感じています。
私が対応している高校生は、例えば、部活をしている生徒だと引退するまで部活のことで頭がいっぱいでそこからスタートするんですよね。
そこからその生徒の長所だったり興味分野だったり、とっかかりを見つけてそこから希望の企業の候補を出して、見学、面接練習をして。内定をもらって良い顔をしている生徒たちを見るのがすごく面白いです。
一方で、「やりたいことが分からない」という生徒たちに毎年出会うのですが、その割合が若干毎年増えていっているように感じています。
キャリア教育を受ける機会はあるものの、点でしかなく、線になっていないと感じることもあります。やはり、継続的に何か残していったり振り返る仕組みが大事だと感じています。
日々感じる進路選択における保護者の影響
あとは、保護者の影響も大きいと感じています。
保護者ブロックというのもたまにあり、生徒たちもどう進んでいいのか分からなくて困ってしまうケースもあります。
私自身も高校時代、進路選択の際に、母から本当に希望する進路は反対されて、諦めた経験があります。
当時私の母からは頭ごなしに否定をされて、どうやって落ち着いたのか覚えていないくらいバトルを繰り広げていました(笑)
キャリア教育を点から線に
Q:今後はどんなことを目指されていますか?
吉野さん:
生徒たちにとってキャリア教育が点ではなく線になって進路に繋がっていくこと、生徒たちのやりたいことの明確化ができる支援ができればと思っています。
また、保護者に対しても、進路決定前の子どもに対してどんなサポートをしてあげられるか悩んでいる方や、子どもと意見が異なっている方に対してこれまでの経験から相談にのれたらと考えています。
―素敵ですね。終始笑顔で明るく話してくださり、吉野さんに相談することで明るく前向きな気持ちになれそうだと感じました!
吉野陽子
みらぴか認定サポーター
大学では心理学を専攻し、卒業後は「人の成長」に関わりたいと考え都内で学習教室教室長やIT企業人事などを経験。 現在は地方移住し、高校生の就職サポートを行うキャリアコンサルタント。進路に悩む生徒たちのキャリア面談等を行う。 「やりたいことが分からない」子どもたちへ寄り添う支援を特に大事にしている。 自身も一男一女の母として、子育てに奮闘中。