みらぴか認定サポーターで不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。
最近は復学支援が注目されてきていますが、どうしても学校に合わない子がいます。
10段階中5~6ぐらいの「学校の合わなさ」であれば別室登校や放課後登校で学校と繋がる子はいますが、それ以上になると別室登校すら嫌がる子もいます。
特に不登校の子の場合、合わない学校で疲弊してしまってエネルギーが枯渇していたり、学校自体にトラウマがあるので、「学校」という言葉を聴くだけで拒絶してしまうことも少なくありません。
そんなとき、どこに連れていけばいいか悩んでしまう親御さんも多いです。今回は不登校の子ども達にぜひ選んでほしい「学校以外の居場所」を5つ紹介したいと思います。
不登校の子どもたちに選んでほしい学校以外の居場所
1)学びの多様化学校
以前は不登校特例校と呼ばれていましたが、令和5年に子どもたちの目線に立った名称とするため新たに「学びの多様化学校」と現在では変更されています。令和6年7月時点で35校あり、将来的には300校の設置を目指すとされています。
この学校の特徴は、不登校の子の傾向や特徴に合わせてカリキュラムを柔軟に変更できるということです。なので、朝起きるのが辛い子は昼過ぎからの登校がOKだし、集団がしんどい子は一人で学べる場所を提供したり、少人数のクラスを編成できるなど、その子たちの状態に合わせて配慮されています。
また、学びの多様化学校の多くはフリースクールや通信制高校・サポート校に関わってきた団体が中心となって設置しているため、不登校の子への理解が従来の学校と比べてされやすいです。
ただ、問題としてはまだまだ設置数が少なく、地方では行くことができないということ。今後の文科省や自治体の努力に期待したいところです。
2)教育支援センター
以前は適応指導教室と呼ばれていました。フリースクールと比べて無償で行けるというのがポイントで、学校側がOKすれば通うことができます。数時間だけの登校でよく、臨床心理士などの専門家を配置しているところもあります。
また、教員を退職した方も入っているため、勉強を見てくれるというメリットもあります。学校に入るのは怖いけど、学校から離れた教育支援センターであれば大丈夫という子もいるので、そういった子には合っているでしょう。
ただ、自治体の考え方によりますが、教育支援センターの場合は復学をゴールとしているところも多く、復学が合わない子には向いていないことが多いです。また、公的機関という性質上、年度替わりで職員が変わってしまうこともあります。あくまでも学校復帰までのつなぎとしての位置づけで考えておいた方がよいでしょう。
3)放課後等デイサービス
こちらは児童福祉法に紐づけられた就学している障害を持った児童に対して療育や居場所活動を提供する民間の施設です。ADHDや自閉症スペクトラム障害、LDの診断を受けた子どもたちも通所しており、中には不登校のお子さんも通っているケースもあります。
医師の診断書と受給者証の取得というハードルがありますが、認定を受けると福祉サービスの一環として通うことができます。貧困世帯や母子世帯であれば安価で利用できるのも大きなメリットです。中には不登校の子たちが年下の子どもたちのお世話をすることで自己肯定感が育まれていき、学校に行けるようになったというケースもあります。
ただ、どの不登校の子にも合うというわけではないようです。利用している子の多くは学校が終わってからそのまま利用するため、最初に宿題をしたり、子ども同士で学校の話もよくします。そうした場面に直面して、いたたまれなくなって、行くのを嫌がる子もいるので、利用する際は施設の雰囲気が子どもに合っているのか、施設長の考え方などをよく吟味した方がいいでしょう。
4)フリースクール
多くは民間がやっています。似た施設としてオルタナティブスクールがありますが、オルタナティブスクールは学校教育に合わない子を対象とした教育施設であるのに対して、フリースクールは学校の中で疲れ切って傷ついた子をケアするという点で異なります。
フリースクールを立ち上げた方の多くが、不登校の当事者であったり、お子さんが不登校だったり、不登校支援に関わっていたりと、もともと不登校の問題に関心が強い方です。そのため、不登校の子どもの心情について理解が十分持っていますし、だからこそ多くの事業所では体験期間を儲けたり、自由に過ごすことを承認したり、子ども達の気持ちを尊重する立場をとっています。
ただ、フリースクールによっては、設営者の思いがかなり左右されています。また、自治体によっては助成金や補助金が出るようになってきていますが、月3~5万ほどかかるところも多く、決して安い利用料とは言えません。
まだまだ多くの課題が残っていますが、それでもフリースクールで元気になった子も多く、不登校の子たちの受け皿として大きな役割があります。
5)ホームスクール
「学校もイヤ」「フリースクールもイヤ」という子は結構多いです。実際、不登校の子の半分以上は学校にも行けていないし、フリースクールや公的機関の居場所にも行っていません。親もいろんなところを進めますが「イヤ!」の一点張り、ということも少なくありません。
そうした場合にぜひ考えたい視点が「ホームスクール」という考え方です。ただ、ここでホームスクールというと学校のようなカリキュラム通りに家庭教育をしないといけないと思う方も多いです。そうではなくて、不登校の子が伸び伸びと自分らしく成長できるような過ごし方を家庭でやっていくという考え方です。
例えば、ホームスクールをやっている家庭の多くは、伸び伸びとゲームをしたり、家族に料理を作ったり、いろんなところに旅行に連れて行ったりと、不登校ライフを楽しむような取り組みをしています。その中で元気になってきてフリースクールに通い出したり、自分から公文や進研ゼミを始めたり、自身のペースで学校行事に出席したりと楽しく成長している子も多いです。
ただ、このホームスクールについてはまだまだ実践している方も少なく、情報も少ないのが悩みどころです。別のコラムでホームスクールについては詳しく書かせていただきますね。
不登校以外の居場所の選び方
さて、ここまでお読みいただいて、一つ疑問に思ったこともあるでしょう。
それは、「じゃあ、うちの子はどこが合っているの?」です。
一番は、その子が「行きたい」と思ったところが正解ではないかと言うのが私の考えです。不登校のお子さんは感受性が強く、自分に「合う・合わない」というのを感じ取る力が高い傾向があります。
親が選んできて、「これどう?」と勧めてもうまくいかないことが多いです。そのため、いくつか情報提供をしてみて、お子さんが「一度、行ってみたい!」と言うのであれば見学に行ってみて、感触を聴きながら選んでいけると良いです。
もちろん、どれも嫌だ!と言う場合もあります。
その場合は、家の中でゆっくりと自分を見つける「ホームスクーリング」という方法を選ぶのも一つです。もちろん、親としてはその選択はとても勇気がいります。
でも、家族に守られる中で少しずつエネルギーが充電していき、自分から「フリースクールに行ってみようかな」と言い出した子もいるので、大事なのは普段子どもと関わる中で、その子のことを理解して、子どもと一緒に考えていきながら見つけていけると良いかなと思います。
ぜひ、お子さんに合った居場所が見つかること、心から応援していますね。
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田中 勝悟
みらぴか認定サポーター
大学院卒業後、スクールカウンセラー、心療内科、児童相談所、貧困層の就労支援のアドバイザーなど多くの領域で経験を積む。その傍ら2019年4月に「カウンセリングルームはぴっと」を開設。またオンラインスクール「不登校の親の学び場」を開講。5,000件を超える豊富な臨床経験から適切な助言を行うことで多くの親の共感を得る。また、エニアグラムを活用した見立て力の高さには多くの支援者から定評がある。著書に「不登校はチャンス」がある。
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