みらぴか認定サポーターの田中勝悟です。
不登校になって、すぐにフリースクールや別室登校に行きだす子は多くはありません。
大抵は、3か月間から半年間は家の中にいて、うまく充電ができてきたら、少しずつ外に出るようになっていき、フリースクールや居場所に繋がっていくケースが多いと思います。
もっともうまく充電ができていない場合は、1年、2年と長引くようになります。
しかし、多くは
- 家の中でずっとゲームや動画を見ていたり、
- 少し外出しても、すぐに家に閉じこもったり、
- 好きなことしかやらならい、嫌なことはしない
とマイペースに過ごしているお子さんも多いと思います。
そうなると親としてどうしても気になってしまうことがあります。
それは、この子は「将来どうなるんだろう?」という不安です。
「進学できるのかどうか?」
「社会でしっかりと生きていけるのかどうか?」
そうした不安や焦りが出てきてしまうのは当然のことです。
そして中学校3年の2学期になると、「本当にどうなるのか?」と気が気でなくなってしまいます。
そうしたときの、「親に知ってほしいこと」についてお話をさせていただきますね。
親が一番知っておいてほしいこと
まず一番知ってほしいことがあります。
それは「進路がなかなか決まらない」子どもの気持ちです。
子どもを理解できていないと、どんな支援や対応をしても効果がありません。
例えば、こういう事例があります。
親が通信制高校・サポート校合同説明会に行って、資料をいくつか取ってきました。
それを子どもに見えるように机の上に置きます。
しかし、子どもはその資料を見ようとしません。
不機嫌な顔になり、部屋に戻ってしまいました。
しばらくは親子の会話もなく、家の中が気まずい雰囲気です。
結局、1か月間ほど、親子の会話ができない状態となりました。
こういうケースはよくあります。
なぜ、こんなことが起こったのかおわかりでしょうか?
それは、「その子が進路のことを考える心の状態ではなかった」からです。
こうした子どもの状態が理解できていないと、どんな方法を取っても上手く行かないどころか、逆効果となってしまいます。
進路が決まらないときに押さえたい3つの視点とは?
次にぜひ知っておきたい「3つの視点」についてお話します。
この3つの視点とは、
- 親子関係の段階
- 子どものエネルギーの量
- モチベーションが高まっているかどうか
です。
以下、それぞれについてお話させていただきますね。
1,親子関係の段階
まず知っておきたいのは親子関係の段階です。
今、お子さんとは雑談や気軽な話ってできていますか?
実は、それができないと進路の話をすることは難しいのです。
不登校の親子関係には以下の4つの段階があります。
段階1:ずっと部屋に引きこもっていて会話が全くない状態
段階2:簡単な挨拶ができるが会話がない状態
段階3:気兼ねなく雑談ができる状態
段階4:進路や将来のことについて話ができる状態
お子さんとの関係は概ねどの段階でしょうか?
もし、段階1や2であれば、進路の話をすることはまずできません。
たまに、その段階のときに子どもが急に頑張りだして、高校に合格するケースがありますが、大抵は途中で崩れてしまい、再不登校→ひきこもりになってしまうことが多いです。
できれば、段階3まで親子関係が良好であることが、進路の話をするためには必要なのです。
2,子どものエネルギーの量
ただ、多くの不登校のケースを見ていると、
「段階3:気兼ねなく雑談ができる状態」
「段階4:進路や将来のことについて話ができる状態」
まで達成している親子は結構います。
でも、進路の話ができないし、できたとしても急にできなくなってしまうということがあるのです。
この背景には何があるかというと、
「子どもが頑張るためのエネルギーの量が不足している」ということが挙げられます。
基本的に不登校の子で、学校に行けなくなってすごく元気に過ごしているというのは稀です。
大抵は、気持ちがぐちゃぐちゃの状態で、傷ついていることが多いです。
その中で、少しずつエネルギーが回復していくというプロセスが必要になります。
ちなみに、エネルギーの回復についてですが、
以下の5つのステップを経過することが多いです。
ステップ1:何もできない状態が続く、気持ちが不安定。
ステップ2:少しずつ好きなことができるようになる
ステップ3:好きなことばかりしている
ステップ4:嫌なことも取り組み始める
ステップ5:しなければいけないことを考えるようになる
もし、ステップ3の状態であれば、エネルギーの回復は出来ていないかもしれません。
この回復ですが、目安としては、
・家のお手伝いをするようになる、
・自分の意見を言えるようになる、
・外出することが増えてくる
・友達と遊びに出かける
などがあります。
ただ、無理をしている場合もあるので、上記の行動ができたからといって
「あ、エネルギーが出てきた」と油断するのは禁物です。
丁寧に子どもの様子や言動を確認していきながら、理解を深めていくことが大切です。
3,モチベーションが高まっているかどうか
そして、子どものエネルギーが高まってきたとしても、
すぐに進路や将来の話ができるかというのは別の話です。
なぜなら、子どもが進路のことを考えるためには、
「頑張りたい、やりたいという意欲」が必要だからです。
ちなみに、この意欲、モチベーションですが、
「こういう仕事がしたい」「こういう勉強がしたい」ばかりではありません。
例えば、
・友達と一緒にいたい
・好きなことを楽しみたい
・自信をつけたい
・今までしたことがないことにチャレンジしたい
そんなものでもいいのです。
結局、進路というのは、その子が生きていく力を身につけるための手段の一つにしかすぎません。
そしてモチベーションが出てくるためには、
親子の中で気軽に「あれいいよね」「こんなことしたいな」という会話が出てくることが大切です。
そうした関わりの中で、子どものモチベーションをしっかりと引き出していくということがとても大切だと思います。
まとめ
今回は、子どもの進路選びで大切な3つの視点についてお話しました。
ちなみに、不登校の子の進路選びは、
親が頑張れば頑張るほど、失敗してしまう傾向があります。
私のカウンセリングのケースで進路が上手く行った事例を見ると、
子ども自身が選んで、自分の力でつかみ取ったというケースが圧倒的に多いです。
反対に親の方で選んで、子どもを説得して、その進路につながるように頑張ってしまったケースほど、
子ども自身が途中でつぶれてしまいがちです。
なので、一番大事なのは、
子ども自身の「前に進みたい」というエネルギーと、「これを頑張りたい」というモチベーション
だと私は確信しています。
それが育めるように、今のお子さんとの関りを大切にしていくことが、
実は子どもの進路選びをサポートしていく上で大事だと思い、今回お話させていただきました。
皆さんの参考になれば幸いです。
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田中 勝悟
みらぴか認定サポーター
大学院卒業後、スクールカウンセラー、心療内科、児童相談所、貧困層の就労支援のアドバイザーなど多くの領域で経験を積む。その傍ら2019年4月に「カウンセリングルームはぴっと」を開設。またオンラインスクール「不登校の親の学び場」を開講。5,000件を超える豊富な臨床経験から適切な助言を行うことで多くの親の共感を得る。また、エニアグラムを活用した見立て力の高さには多くの支援者から定評がある。著書に「不登校はチャンス」がある。
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