子どもの「生きる力」を育む田舎暮らし! 私が子育て世代の地方移住をしようと思った理由と実際にしてみての感想

地方移住

みらぴか認定サポーターの上田です。

「子育て世代の移住について」というテーマで移住に関する様々な情報を書かせて頂いています。
わたし自身、2022年に東京から長野に移住をし、さらにその2年前の2020年に特別養子縁組で当時生後6日の娘を養子として迎え母になりました。
この「移住」と「子育て」は一見別のイベントのように見えますが、実はとても関連深いものだと思っています。
今回は、私が子育てをする中で移住をしようと思った理由と実際にしてみての感想についてコラムを書きたいと思います。

「どんな子に育ってほしいか」から逆算した結果が「地方移住」

娘を迎えた背景と、その経験によって得た価値観

私は2020年に特別養子縁組に夫婦揃っての不妊をきっかけに特別養子縁組をしました。
「結婚して数年後には子どもができて・・・」という根拠もないのに漠然と来るであろうと予想していた未来がある日突然閉ざされ頭をガツンと殴られたような喪失体験に見舞われたことを今でも鮮明に覚えています。ですが、この不妊という事実をきっかけ貧困や精神疾患などの事情から実の親が育てることができない子どもが日本に45000人いるという現状を知り、特別養子縁組で子どもを迎えることを決断しました。

娘と過ごす日々の中で“家族のカタチは血の繋がりだけではない”という事を教えてもらいました。
この経験は私の人生の中で大きな財産になっています。そしてこの経験が今思えば、移住を考えるようになった最初のきっかけかもしれません。

「ありのままの自分が好きな子」に育ってほしい

「多様性」という言葉が近年こんなにも普及はしているけれども、日本の風土として「人と違うこと」や「少数派であること」は様々なシーンで受け入れられていないことはまだまだあるかと思います。
娘が今後、「親と血の繋がりがないこと」・「養子であること」に悩み・葛藤を抱える時は少なからずあると思っています。そんな中で、娘に「ありのままの自分が好きな子」になってほしいという望みがいつしか生まれていました。

みんなと一緒だから良い、勉強ができるからすごい、といった「人と一緒であること」や「できるかどうか」が基準になるのではなく、自分の強みも弱みも背景もすべてひっくるめてありのままの自分を好きという気持ちが育まれることは、今後長い人生の中、壁にぶつかることがあっても、その壁を乗り越える「生きる力」になると思ったのです。そして「自分らしく人生を送る為に必要な力」だと思いました。

夜な夜な叶えたい未来を真っ白な紙に書き出すところから移住計画がスタート

では、この「ありのままの自分が好き」という気持ちを育むにはどんな環境が必要か?夫婦で夜な夜な真っ白なコピー用紙に、思いつくものを書き出していきました。
そこには「こんな環境がよい」と思うものと、今の環境において「これはなくしたい」というものを素直に出し合っていきました。<等身大の移住>と仮タイトルまでつけて、移住をしたいと心が動いたその理由をフランクに書き出していきました。

・自然豊かな環境で、子どもにのびのびと過ごしてほしい
・子どもの「できる・できない」ではなく「やりたい」を認めてくれる環境に身を置きたい
・子どもと過ごす時間を増やしたい
・通勤電車に乗る時間はなくしたい
・目に入るもの、耳にするものが自然のものである割合を増やしたい
・時間と心にゆとりをもちたい

これ以外にも思いつくものは大小関わらずとにかく書き出しました。
そして、その中で「叶える為に移住が必要なこと」に★印をつけていきました。
同時に「東京でないと叶えられないこと」はあるかどうかも整理してみたのですが、それが実はなかった、というのが移住を決意した瞬間かもしれません。

「東京生まれの東京育ちだから」
「親も友人も東京にいるから」
「東京で仕事しているから」
「東京に家を購入済みだから」

このような理由が自ずと「どこで暮らすか」を決めていましたが、改めてそれが本当に「ここでないといけないか?」と深く考えると、「距離が離れても親や友人と会う機会は自分次第で作れる」「家は売るという選択肢もある」など、叶えたいことを叶える為の方法はいくらでもあることに気が付きました。

移住先に求めるものが決まればエリアが決まる

移住先に求めたもの~「自然」「森のようちえん」「地域コミュニティ」~

「移住をする」と決めても、その目的を常に認識していないと、何から決めていけばよいのか迷うかと思います。まずは住む場所を決めて、その後に仕事や学校・幼稚園や保育園を見つけるのが良いのか、それともまずは学校や園を決めて、そこに通える範囲の場所で済む場所や仕事を見つけるのか。私も「何から手をつけていこう」と悩みました。

我が家の場合は、移住をしたいと思った理由であり同時に移住先に求めるものは「自然」「森のようちえん」「地域コミュニティ」でした。その中で最も求めていたのは「森のようちえん」であり、子どもの「できる・できない」ではなく「やりたい」を認めてくれる環境や人がそこにいるかどうか重視していたので、まずは求めている園があるところはどこか?という視点で調べた結果、長野県が候補に挙がりました。

森のようちえん
幼児屋外での遊びや運動を中心に様々な体験を深め、知力と体力も同時に高めることができるとされる全国的に注目を集める新しいスタイルの保育・幼児教育の総称

実際に移住をするまでの流れは人によってそれぞれだと思いますが、
私の場合は、①入園希望の園と接点を持つ→②移住先決定→③自宅の売却手続き(東京にマンションを購入していた為)→④引っ越し準備と転職活動を同時並行→移住(引越し)という流れで移住決意から実際に引越しをするまで約半年で進めていきました。

百聞は一見にしかず~現地に行ってわかること~

ネットの情報やオンライン面談による情報は今の時代かなりのものです。森のようちえんについては、Facebook・Instagram・Twitterで保育の様子や体験記、写真の掲載がありますので、求めている環境であるかどうかを探るヒントにしていました。

候補となる地域の補助金制度についても各都道府県が掲載している移住情報サイトを見れば大枠は分かります。

しかし「人」と「自然」は実際に会ってみること・出向いてみる事でわかります。
実際に気になっていた幼稚園の説明会に参加し先生方の教育への想いを聞いてみる、周辺地域を車で走って、山々や川など日々の暮らしの中で触れる「自然」を自分の足で歩いて確かめてみる、その中で「ここだ」と直感的に感じることができるかが、大切なことだと思います。

移住をしてみての感想

自然環境がくれるもの

自然は想像力の宝庫です。「これはこう遊ぶ」と決まった型がない為、発想力をフル回転して目の前のものを使って遊ぶ子どもの姿に移住前と移住後の変化を感じました。落ち葉や木の枝・石を使い、それがおままごとの道具になるときもあればお面になるときもある、何に「見立てるか」は自分次第の面白さがあります。

そして、鳥の声や川の流れの音など、自然の音が耳に入ってくることも増え、五感で毎日たくさんの刺激を受けているように思います。

それは大人も同じで、毎日見える広大な山々や春から秋に広がる一面の田園風景に癒され、それが心のゆとりに繋がり、目の前の子どもとの時間や仕事の時間、その瞬間瞬間をとても大事にできるようになりました。

地域の特徴が分かるのは春夏秋冬を経験してから

「移住と同時に中古物件を購入してリノベーション」など、移住を考えたとき憧れはありました。
しかし、人を好きになるようにその地域を好きになるにも、その良さ・難しさを時間をかけて知る必要がありと考えたこと、そして我が家は石橋をたたきまくる慎重派夫婦ゆえに、まずは移住ビギナーとして賃貸で家を見つけ、1年経った今、その選択はよかったと感じています。

・車生活になってみて、「車で15分」の間隔がどのくらいなのか。それによって生活県内に必要なお店とそこまでの距離としてどのくらいあれば良いか。
・冬の降雪が通勤にどの程度影響があるか、エリアによって寒さにどの程度違いがあるか。
・子どもの今後の進学の選択肢を考えた時にエリアによって選択肢の幅がどう変わるのか

これらは住んでみて1年経ってようやくわかってきたことです。
移住をすると環境ががらりと変わります。移動手段も日々の生活のリズムも変わります。その中でこれまでは気づかなかった「自分には欠かせないもの」も見えてきます(我が家の場合は週一の温泉が欠かせないことに気づきました。)。

家を決めきらずに賃貸で身動きができるようにしておくことで、移住後じっくりと自分たちにとってベストな住まい選びができると感じています。

まとめ:「地方移住をしたい」の奥底にある想いを整理することが大切

今回、みなさんに私について知ってもらいたい気持ちもあった為、移住を決断した理由としてあえて特別養子縁組で子どもを迎えた背景から書きましたが、特別養子縁組どうこうは関係なく「ありのままの自分を好きな子になってほしい」という望み自体は、親として共通の想いとしてお持ちの方も多いのではないでしょうか?

移住は「その地域に住む」ことが目的なのではなく、「その生活を通じて何を得たいか」が大切な視点だと思います。
「田舎での子育てがしたいな」や「子供に自然環境豊かな環境で育ってほしいな」と心が動いているとしたら、その心の動きをヒントに「何を叶えたいからそう感じているのか」ともう一段心の奥底を探ってみてください。そこには「私はこうなりたい」や「お子さんにこうなってほしい」という“なりたい(なってほしい)姿”が隠されているかもしれません。

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上田 さや香

みらぴか認定サポーター

大学で臨床心理学を学ぶ。「対話を通じて人の役に立ちたい」という軸をもとに人生のターニングポイントに携わりたいと気持ちから、ウェディングプランナーとしてキャリアをスタート。その後、大手人材紹介会社に勤務し、アドバイザーとして転職支援をはじめ、社員研修企画・講師を経験。独立後は、企業研修や社会人向けキャリアカウンセリングを中心に従事。これまでキャリア相談は約1,500件、研修講師は約6,000名を対象に実施。不妊治療や特別養子縁組で子どもを迎えた経験、さらには東京から長野への移住といったライフイベントを自身で経験し、「進路選択」や「仕事選び」という一つの側面だけでなく「生き方」という広義の意味で子どもとの関わり方や相談者の想いの整理をサポートを行っている。

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