不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。
「不登校からひきこもった子の支援(1)まずは理解すること」の続きです。
前回は不登校からひきこもったケースの場合、まずは不登校の背景やその子の気持ちを理解することが大切だと伝えました。
しかし、理解するのが難しいケースもあります。
子どもによってはいろいろと話してくれるので、親としても何を考えているのかわかりやすい場合もありますが、多くは全く自分の気持ちを話してくれないので、何を考えているのか全く分からないというケースも多々あります。
中には「子どもとは2年間、声すら聞けていません」という相談を受けることもあります。
そんな時に、どうやって理解をしていけばいいのでしょうか?
ここで、私が実際に行っている「子どもを理解するための3つのステップ」について紹介させていただきます。
これは不登校支援だけではなく、多くの人間関係の悩みでも有効な方法なので、ぜひ試していただければと思います。
ステップは次の通りです。
- 子どもの情報を把握していく
- 私だったらどう感じるか、どう思うかをイメージしていく
- 確認していく
詳しく見ていきましょう。
子どもの情報を把握していく
まず、子どもの情報を把握していくことですが、これは何も子どもが話すことのみが情報とは限りません。
例えば、表情や生活リズム、部屋の中で過ごしている様子、ご飯を残しているか全部食べているか、それらが全て情報となります。
ところで、不登校になると大抵の子どもは罪悪感を持つことがあります。
一方で、全く罪悪感がなく、「学校に行かなくてよかった」と思っている子もいます。
それら違いは表面的な言動からはわかりません。
でも、平日と休日の過ごし方の違いを見ればわかります。
罪悪感を抱いている子は、平日は落ち込んでいたり、気持ちが不安定になるけど、休日の日は割と元気そうに過ごしています。
逆に罪悪感を持っていない子は、平日も休日もあまり変化はありません。いつも通りです。
こうした1週間、1ヶ月スパンで子どもの変化を見ていくと、「あ、こういうことなのかな?」という情報が集まってくることがあります。
実はこれが「様子を見ましょう」という本当の意味なのですが、残念ながらスクールカウンセラーや専門家でもわかっていないのが実情です。
私だったらどう感じるか、どう思うかをイメージしていく
例えば、ずっと部屋から出ないでゲームをして過ごしている場合、多くの大人は「楽している」「サボっている」と見がちです。
でも、これを自分に置き換えてみてください。
毎日YouTubeの動画を見たり、ゲームばかりして過ごしているだけの状況。
それが何年も続いていて、何もしていない、達成できていない、人との関りも持てない状況。
私だったら気が狂いそうになります。
人は成長したいという欲求、周りから認められたい、誰かとつながりたいという欲求があります。
それが全く満たされないまま、いたずらに時間だけが過ぎるだけの日々で、しかも出口がないまま続くとなれば、とても平常心でいられる自信がありません。
実は不登校のお子さんは、そうした先の見えない不安と常に戦っています。
その中で自分が壊れないために、ゲームに没頭することで何とか守っているというケースは非常に多いのです。
「このままじゃだめになる、どうしていいかわからない、今日もゲームだけやって終わってしまった。明日が怖い・・・」
そうした中で生きるためにゲームをしているということがあります。
まずはその子の置かれている状況、自分だったらどう感じるか、どう思うかという視点で考えてみましょう。
もちろん、親子の性格が違うこともあり、うまくイメージができない場合もあります。
でも、親視点ではなく、子ども視点で見つめ直したとき、子どもを理解することに一歩近づくことになるのです。
確認していく
さて、ここまでできれば、全く子どもが理解できていない状態から、半分以上は正解に近づいているかと思います。
でも、このままで終わると、絵に描いた餅になってしまいます。
実際にお母さんやお父さんが考えたこと、イメージしたことが本当に正解であるかどうかはわかりません。
やはり仮説検証していくということが大切になります。
可能であれば、子どもに「あなたの状況を自分に置き換えて考えてみたんだけど、〇〇かなと感じたんだけど、どう?」と聞いてみましょう。
子どもとの関係によっては「そんな感じ」「いや違うよ」と答えてくれるかもしれません。
もちろん、親子関係の程度や子どもの状態、性格によっては答えてくれないケースもあります。
その場合、有効な方法が2つあります。
一つは、長期的に子どものしぐさや言動を見ていくことです。
今はわからなくても、長い目で見たとき、「あ、そういうことか」とわかることがあります。
ただ、この方法のデメリットとしては、親がずっと子どもを見ていないといけなくなるということ。
それだと子どもは親に「見張られている」と感じてしまい、逆にメンタルが悪化してしまう可能性があります。
もう一つは、専門家に確認するということです。
不登校の専門家に確認してみると、豊富な臨床経験から「そんな感じですよ」「いや、それは違うと思いますよ」と一緒に考えていき、正解に近づけていくことができます。
不登校の子どもの場合、繊細さや感受性が高いという特徴があるので、親の方が「理解してくれている」と実感できると、自分から距離を縮めてくれることがあります。
それが部屋に引きこもっている状態から出てくるきっかけになることは多いのです。
もちろん、100%子どものことを理解することは不可能ですが、こうした3つのステップを使って、少しずつ子どもの気持ちを理解できるようになっていくと、子どもの方も変化していき、部屋から出てくるようになってきます。
ぜひ、実践してみてくださいね。
また、難しい場合は、お気軽にご相談ください。
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田中 勝悟
みらぴか認定サポーター
大学院卒業後、スクールカウンセラー、心療内科、児童相談所、貧困層の就労支援のアドバイザーなど多くの領域で経験を積む。その傍ら2019年4月に「カウンセリングルームはぴっと」を開設。またオンラインスクール「不登校の親の学び場」を開講。5,000件を超える豊富な臨床経験から適切な助言を行うことで多くの親の共感を得る。また、エニアグラムを活用した見立て力の高さには多くの支援者から定評がある。著書に「不登校はチャンス」がある。
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