はじめまして。みらぴか認定サポーターの榊です。
私は、スポーツ界、特にバスケットボール競技の現場に教員、コーチ、大会運営などを含めて30年以上携わってきました。 このコラムでは、キャリアコンサルタントの立場から部活動やスポーツに関することをお届けしたいと思います。
今回は部活動の地域移行について、改革による中学校の部活動の変化を具体的にお伝えし、良い点や課題点などを取り上げながら、進学について親子で向き合う大切さなど、私が考えていることをお伝えしたいと思います。
このコラムを読んでいる皆さんは、中学・高校時代の放課後はどのように過ごされていましたか?
数ある運動部、文化部の中から興味あるものを選んで所属し活動されていたのではないでしょうか?
私の中学・高校時代の思い出は、ほぼ部活動のことばかり、昭和のスポ根時代だったこともあり、楽しさとつらさが入り混じったエピソードが多いのですが、そんな部活動での経験を通じて成長することができたと実感しています。
皆さんも、お子さまへ学生時代の部活動での思い出を語りつつ、部への入部を薦めたり、あるいは保護者としてお子さまの部活動のサポートをしている真っ最中かもしれませんね。
例えば、運動部では、日々の食事や土日のお弁当づくり、ユニフォームの洗濯などの生活サポートから、悩み相談(なかなか上手くならないとか先輩後輩の人間関係の悩みとか・・・)まで多岐にわたるご苦労があるかと思います。お子さまとの日々の関わりを通じて、成長を実感されることも多々あるかと思います。
部活動は、学校教育の一環として、異年齢との交流の中で、生徒同士や教員と生徒等の人間関係の構築を図ったり、生徒自身が活動を通して自己肯定感を高めたりするなど、教育的意義が高いことが指摘されていますが、近年は、少子化や教員の働き方改革などの社会情勢を受け、大きな改革が行われ、子ども達の活動環境も変わろうとしています。
まず、はじめに部活動運営が年々難しくなっている現状についてお伝えします。
一つは近年の少子化の影響についてです。生徒数の減少に伴い従前と同様の運営体制では維持が難しくなり、中学校、特に公立校では、部員の減少や部の存続の危機に見舞われています。
もう一つは教員の働き方改革の影響です。中学校の教員は、学校での業務は通常の授業に加え、クラス運営や生徒指導、会議など多岐に渡ります。本来の業務に加えて部活動に関わると、放課後の活動指導、休日練習や大会帯同など、おのずと長時間労働になってしまいます。そのため、教員の就業時間、心身への負担、休養時間不足などが、働き方改革により問題視されるようになりました。
つぎに、学校現場だけでは解決が難しくなった部活動の課題に対して、スポーツ庁及び文化庁では、2018年度に策定した二つのガイドライン「運動部活動のあり方に関する総合的なガイドライン」及び「文化部活動のあり方に関する総合的なガイドライン」を統合した上で、新たに「学校部活動及び新たな地域クラブ活動のあり方等に関する総合的なガイドライン」を策定しました。
このガイドラインには、学校部活動の地域移行への環境整備が提唱されています。
これは、2023年度から「改革推進期間」として、外部の部活動指導員が部活指導を行うことや、部活動を地域で活動する民間のクラブや教室に連携や移行させるなどの取り組みを、各地域で段階的に行っていくことを提示しています。
このようなことから今後は、行政や学校の方針により、部活動のあり方が徐々に変わっていくことが予想されます。
では、子ども達や保護者は、このような部活動の地域移行により、どのような影響を受けるのでしょうか。
メリット
良い点としては、部活動の地域移行により、安定した部数や部員数を確保でき、子ども達の選択の幅が拡がることが期待されます。また、学内部活動への外部指導員の導入により、専門性の高い指導者から指導を受ける可能性が高くなります。他にも、活動時間や休養日などが示され、より安心・安全に活動することが可能になると思われます。
デメリット
しかしながら、良い点と相反する形で課題も出てくるでしょう。
今までは、学内活動、学校教員の指導により、部活動の金銭的負担が最小限であったところ、地域のクラブや教室など学外の民間組織へ移行することで、指導者への月謝や部活の運営会費などが発生し、金銭的負担が増えることが考えられます。そのため、子どもたちが家庭事情を配慮し活動を控えることがあるかもしれません。
また、放課後すぐに学内で友人や先輩達と気軽に活動を行っていたものが、学外活動により、学校から離れた場所や複数の学校から集まるメンバーで構成されるなど、環境面で興味を失ってしまうケースがあるかもしれません。
他にも、活動場所への送迎など保護者側の負担も考えられます。
もちろん、全てがこうなると断定はできませんが、お住まいの地域や学校の取り組み方により、子ども達が受ける影響も様々であることが十分考えられます。
皆さんのお子さまは、どのような学生生活を送りたいと考えているでしょうか?
学業や部活動に対してはどのように考えているでしょうか?
部活動に大きな期待を抱いているかもしれませんね。保護者側の気持ちとしては、お子さまの希望にそった活動をしてほしいと思われることでしょう。
そのためには、まず、お子さまが進学に際して取り組んでみたいことや興味を持っていることの話に耳を傾けていただきたいと思います。
さらに、一緒に入学予定の学校のホームページを閲覧したり、その学校に通っている先輩や保護者から学内外の情報収集をするのも良いかと思います。
また、私立校など学校によっては、部活動に力を入れていることを特色として、積極的に生徒募集を行っている場合もあります。
幼少の頃から、お子さまが取り組んできたスポーツやお稽古事などを部活動で継続したい場合は、学校のオープンスクールに参加して、実際の活動を見学した後に受験の検討をするのも良いでしょう。
子ども達には、その年代でしか経験できないことがあり、部活動での経験を通じて子ども達は成長していきます。
一方で、社会情勢や改革により従前の部活動が徐々に変わりつつあるのも否めません。
多くの選択肢の中で、子ども達の学生生活を充実したものにするためには、日頃の対話の中で、お子さまの考えをキャッチしておくことが大切だと考えます。そして、自分で調べたり、行動することは、その後のお子さまの意欲や充実感にもつながるものと考えます。
大人の役割は、子ども達が考え、選択したことに対して寄り添い、見守り、応援することだと考えます。
日々成長する子ども達の姿を見ることができるのは、保護者の最大の楽しみだと思っています。
ぜひ、トライしてみて下さい。
みらぴか認定サポーター
中学、高校、大学、クラブチーム、シニアチームとバスケットボール選手として活動。
体育教師、クラブチームコーチと指導する側から競技団体(バスケットボール協会)で大会運営や指導者養成など多岐に渡る職業を経験。現在は、バスケットボールの普及活動やアスリートのサポート事業などを行う。育成年代の選手達が、スポーツでの経験を通じて成長し、大人になってもスポーツの良さを次の世代に伝えていくことができる環境づくりを目指している。