こんにちは、子育て中ライターの水無瀬あずさです!
私の住んでいる横浜市には、中学校給食がありません。給食の代替として、希望者向けにデリバリー給食、通称「ハマ給」(旧称:「ハマ弁」)が導入されていますが、いまだにお弁当率が高いのが現状のようです。一方の我が家はといえば、長男の入学当初から「ハマ給」を毎日利用しています。心も体もぐんぐん成長する中学生という時期、栄養バランスを考慮して作られた学校給食は、子どもの成長に必要だと思うんです。家庭のお弁当作りの負担もなくなりますしね。そんななか、なんと横浜市でも「2026年度から全員給食を開始する」ことが決まりました!多くの市民が学校給食のあり方や食育の大切さについて真摯に向き合い、議論を重ねてきた結果だと思います。そこで今回は、子どもの心身の成長に欠かせない学校給食の目的と、食育の重要性について詳しく調べてみました!
そもそも給食とは?
給食とは、「学校給食法」という法律によって規定されている教育活動の一つであり、義務教育課程にある学校(※)で実施されています。学校給食が子どもにとって「心身の健全な発達に資するもの」かつ「食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすもの」であることから、1日に必要な栄養素の約3分の1が採れるようバランスを考慮して作られています。
※学校教育法に規定されている小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程または特別支援学校の小学部もしくは中学部のこと
学校給食法には、以下の7つの目標が定められています。
【学校給食法の7つの目標】
- 適切な栄養摂取によって健康の保持・増進をはかる
- 日常生活における食事の正しい理解、健全な食生活を営むための判断力、望ましい食習慣を養う
- 学校生活を豊かにし、明るい社交性と協同の精神を養う
- 食生活が自然の恩恵の上に成り立っていることを理解し、生命・自然を尊重し環境保全に寄与する心を養う
- 食生活が食にかかわる人々のさまざまな活動に支えられていることを理解し、勤労に感謝する心を養う
- 自国や各地域の優れた伝統的な食文化の理解を深める
- 食料の生産、流通、消費に対して正しく理解する
学校給食って、食べることの大切さや楽しさ、栄養について学べるのみならず、生命の大切さや文化、伝統、習慣、世の中の仕組みまで、多くのことを学ぶ場でもあったんですね。私はこの目標を見ていて、近年注目されているSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にもよく似た項目が挙げられていると感じました。具体的に挙げるなら、「飢餓をゼロに(2)」「質の高い教育をみんなに(4)」「つくる責任、つかう責任(12)」「海の豊かさを守ろう(14)」「陸の豊かさも守ろう(15)」などでしょうか。学校給食法は1954年に制定されている歴史の古い法律ですが、子どもの心身の成長において目指すべき方向は現代とそれほど大きく変わらないんですね。
学校給食にはどんな歴史があるの?
ところで、学校給食っていつからあるの?と疑問に思ったので、調べてみました。
日本における学校給食の始まりは明治時代の1889年、山形県鶴岡町(現・鶴岡市)の大督寺というお寺の境内にあった私立忠愛小学校で、生活が苦しい家庭の子どもたちに無料でお弁当を出したことが起源と言われています。大督寺の境内には「学校給食発祥の地」の記念碑が設立されているそうです。
大正時代に入り、子どもの栄養改善として国からも給食が推奨されるようになったことで、学校給食は全国へ広がりを見せていきました。戦時中は一時中断されたものの、戦後、経済的困窮と食糧不足のなか、国民の要望を受けて給食が再開。1954年には「学校給食法」が成立し、法的な体制も整備されていったのです。学校給食法はその後、2009年の改正で「食育」という観点から見直されました。
今日の学校給食があるのは、このようにさまざまな努力と試行錯誤の結果なんですね。
中学校給食がない横浜市の新たな取り組み「ハマ給」
子どもたちの心身の成長に大切な学校給食ですが、私の住む横浜市には中学校給食がありません。どうしてないのか不思議に思って調べてみたところ、明確な文献などは見つかりませんでしたが、人口の急激な増加に伴い設備の確保や増築を先行した結果、学校給食にまで手が回らなかったというのが原因のようです。
デリバリー弁当「ハマ弁」の登場
中学校給食がない横浜市ですが、給食の必要性はかなり昔から指摘されており、市議会などでたびたび議論されてきました。一方で、出来立ての温かい給食を届けるためには各中学校へ調理場を設営する必要があり、敷地面や費用面からすぐには対応できないことが大きな課題でもありました。
そこで誕生したのが、デリバリー弁当(横浜型配達弁当)、通称「ハマ弁」です。横浜市教育委員会の配達弁当事業として2016年にスタートし、市に委託された弁当業者が希望者へ栄養バランスの取れた弁当を配達するサービスです。価格は税込み360円からで、なかなかリーズナブル。
しかし、実際に始まった「ハマ弁」に対して聞こえてくるのは「おいしくない」「冷たい」という悪評ばかり。「ほとんど頼む人がいないから、子どもが恥ずかしがって頼みたがらない」と当時のママ友も言っていました。当日注文ができないという点で利便性も低く、「ハマ弁」の利用率は1%代と低迷を続けました。
「ハマ弁」から「ハマ給」へ
さまざまな課題を受け、「ハマ弁」はメニューや味、サービス提供方法などで改善を繰り返しました。そして2021年、「ハマ弁」は新たに「中学校給食(通称「ハマ給」)」として生まれ変わりました。
「ハマ給」では、弁当の提供を業者へ委託するのではなく、市の事業として栄養士が献立を作成し、国産や地場産、旬の食材を活かし季節を感じられる献立を多く取り入れた給食を提供します。位置づけも、学校給食法上の「給食」へ変更されました。
「ハマ給」の2022年4月時点の喫食率は30.1%。全員給食には程遠いものの、「ハマ弁」時代から比べれば、一歩前進したと言えるのではないでしょうか・・・。
ちなみに、「ハマ給」という名称は、中学校へ行った際に先生から伺ったものなのですが、息子に聞いてみたところ「みんな普通に『ハマ弁』って呼んでいる。『ハマ給』なんて聞いたことないし、多分みんな知らないと思う」と言っていました。
先生、「ハマ給」という名前、浸透していないみたいですよ・・・。
注文はスマホアプリで管理
「ハマ給」の申し込みはスマートフォンのアプリから行います。「平日は毎日」「毎週〇曜日だけ」といった定期注文のほかに、1日だけピンポイントで注文することも可能です。ご飯の量を小・中・大から選択できるほか、希望者には牛乳も付けられます。
我が家は平日毎日+ご飯大盛り+牛乳付きのフルコンボです!
2026年度から中学校で全員給食開始へ!
2023年の初め、横浜の中学校給食に関する嬉しいニュースが入ってきました。「2026年度から全員給食を開始する」というもの。横浜市では2021年、「中学校給食の全員実施」を公約に掲げた新市長が誕生したことで、全員給食に対する期待ムードが高まっていたのです。ついに給食が実現するのかと思うと、胸が熱くなります!
ただ、現段階で「ハマ給」喫食率は依然30%代と低く、実際に全員給食を開始するための課題は多そうです。
せっかくの学校給食ですし、味や素材、メニュー、友達との交流をゆっくり楽しみ、作ってくれた人や自然の恵みに感謝しつつ、豊かな心を育んでほしいものです。
まとめ|学校給食と家庭の食事の両方で子どもの健康な心身を育もう
子どもの心身の成長には栄養バランスの取れた食事が欠かせないものであり、学校給食は成長期における子どもの健康の基盤となる大切な教育活動です。一方で、学校給食において摂取できる栄養は1日の3分の1の量程度であり、学校・家庭の双方で食べることを通じて食育を実践することが重要とも言えます。ゆとりある時間のなかで食事の楽しさや大切さを教えながら、子どもたちを見守っていきたいですね。
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水無瀬 あずさ
ライター
黄色い電気ネズミとビールをこよなく愛するシステムエンジニア兼ライター。「どんなことでも全力で楽しむ!」をモットーに、反抗期真っ盛りの息子2人と全力で向き合っています。PTA役員などボランティア活動に積極的に参加し、学校や家庭における教育の在り方を模索中です。ゲームが趣味ながら、最近画面酔いがひどくて長時間できなくなったのが悩みのタネ。
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