不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。
「不登校とひきこもりってどう違うの?その疑問をカウンセラーが徹底解説」で、不登校でもひきこもらないで元気に活動できる子と、
部屋から出ず、ずっとひきこもっている状態の子がいるとお話しました。
なんでこんな差が出てくるのかご存知でしょうか?
簡単に言えば、
メンタルが悪化しているのが大きな原因です。
もちろん、悪化しなくてもひきこもっている状態が向いている人もいますが、
多くはメンタルが悪化して外に出られなくなってひきこもっているケースが多いのです。
ちなみに、メンタルが悪化する要因は3つが考えられます。
- 性格的な要因
- 環境的な要因
- 精神疾患を患っている
それぞれお話していきましょう。
性格的な要因
人には成長や環境によって変わる性格と、一生変わらない性格があります。
この一生変わらない性格というのを「気質」と呼んだりしますが、
あまりにも自分自身に馴染んでいるため、無自覚だったり、
「相手も同じように考えるはずだ」と考えてしまいがちです。
で、ここからが大切な事ですが、
逆境やストレスに強い性格の人と、
すぐにつぶれてしまう性格の人がいます。
これは残念ながら生まれつき決まっている部分であり、嫌なことがあると一気に生きるエネルギーが枯渇してしまうタイプの人がいるのです。
逆境に弱いタイプの人は、悩みを抱え込んだり、一人で悶々と苦しんだりします。
嫌なことがあると、笑顔になるのは難しいです。
こういうタイプの人は、周りが「ああ、それは苦しいよね」と共感を示したり、話を聴いていくことが必要になります。
「あなたはあなたのままで大丈夫よ」というメッセージが生きる力の糧になります。
ちなみに生まれつき性格によっては、思いっきり外に出した方が良い場合もありますし、本人のペースを尊重しながら理解していく方が向いている子もいます。
「自分は出来るんだ!」という自信を持たせた方が良いケースもあるでしょう。
ここでは「性格によってひきこもりやすい子、ひきこもりにくい子がいるんだ」と思って頂ければと思います。
環境的な要因
環境要因というのは様々ですが、大きく分けて2つあります。
- 学校や部活、友達関係との間でトラウマになるような出来事があって、外に出るのが怖くなった
- 親の対応が不適切だったために、外に出ていくエネルギーがなくなった。
1の場合だと、トラウマレベルのいじめだったり、暴力や暴行を受けたとか、すでに心が壊れるような出来事があったというケースです。この場合は、医療機関で治療を受けたり、何らかの法的な対応などをしていく必要があります。
ゆっくりと家族のサポートで心の傷を癒していくことが大切になります。
ただ、1のケースはそんなに多くはありません。もしかすると、カウンセリングの場だからこそ、あまり会うことがないだけかもしれませんが・・・
私の経験で不登校からひきこもりになったケースで多いのは、圧倒的に(2)のパターンです。
例えば、不登校になった際に、子どもの話を聴くことなく、無理やり学校に戻すような対応をされると、子どものメンタルは確実に悪化します。
学校に行くかどうかというだけで、存在価値が決められるような状況は子どもにとっては地獄です。
またご家族がそういう状態だと、家の中はぎすぎすしてしまい、心が落ち着けれるような空間ではなくなってしまいます。
ひきこもる子の多くは一日中ゲームをして過ごしています。
多くの人は「好きなことばかりやっている」と言っています。
でも本当はそうじゃないのです。
ひきこもりの子たちがゲームばかりしているのは、家の中に居場所がないからです。
家の中が落ち着かず、親も味方ではなく、常にびくびくしながら過ごしています。
また将来のことを考えると不安でいっぱいです。
そうした環境が長く続くと、単なる学校に行けないから、家が怖い、社会が怖いとなってしまい、最終的には部屋にとじこもってしまうのです。
精神疾患を患っている
さて、最後の精神疾患を患っているケースですが、私の経験ではかなり少ないです。
例えば、統合失調症という病気がありますが、これは妄想や幻聴が聞こえるといった陽性症状と、無気力・意欲減退・無感情といった陰性症状というのがあります。
で、陰性症状の場合、部屋から全くでないで食事もとらない、また無感情でどこかおかしいといった印象を受けます。
他にも強迫性障害があまりにも強くなってしまい疲弊してしまっているケースや、うつ病、それからパニック障害で外に出られなくなっているといったケースもあります。
もし、上記の症状が出てきた場合は、医療機関への受診をお勧めします。
精神科や心療内科の仕事は薬を処方することで、脳の状態を整えることです。
病状が回復してくると、少しずつ外に出ていき、改善していくようになります。
最後に・・・
今回は不登校からひきこもりになる原因についてお話ししましたが、どれもケースバイケースです。
上記の原因が一つだけの場合もあれば、複雑に絡み合っているケースもあります。
できれば専門家に相談し、適切に見立ててもらうことが大切です。
お子さんの状況をしっかりと理解した上で、対応策を考えていくことが大切でしょう。
次回の「不登校からひきこもった子の支援(1)まずは理解すること」ではひきこもりの対応についてお話をして行きたいと思います。
よければみなさんのお悩みや不安なことがあれば気軽に話してみませんか?
お試しで30分からお話しいただくことができます。
以下のLINEに友だち登録いただき、オンライン相談についてチャットをいただければ、時間の調整もすぐにできますので気軽にご連絡ください。
田中 勝悟
みらぴか認定サポーター
大学院卒業後、スクールカウンセラー、心療内科、児童相談所、貧困層の就労支援のアドバイザーなど多くの領域で経験を積む。その傍ら2019年4月に「カウンセリングルームはぴっと」を開設。またオンラインスクール「不登校の親の学び場」を開講。5,000件を超える豊富な臨床経験から適切な助言を行うことで多くの親の共感を得る。また、エニアグラムを活用した見立て力の高さには多くの支援者から定評がある。著書に「不登校はチャンス」がある。
お子さまの不登校、発達障がいについてお悩みの方は田中さんに相談してみませんか