子育てアカデミー

不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。
不登校の中学生の進路(1)通信制高校のメリット・デメリットとは?どんな高校か解説します」で通信制高校とはどんなところかについて書かせていただきました。

ただ、不登校の子で通信制高校に行ったものの、メンタルが悪化し、ひきこもり状態になってしまったり、自傷行為や昼夜逆転などかなり精神状態が悪化してしまうケースは少なくありません。

事実、私のカウンセリングルームでも、せっかく通信制高校まで行ったのに、ある日急に自傷行為を起こしたり、情緒不安定になってしまったという相談を受けることがあります。

今回は、「不登校の子が通信制高校に進学する前に親が考えたい3つのポイント」についてお話していきます。

その3つとは・・・

ポイント1:焦って選ばない
ポイント2:子どもの気持ちを尊重する
ポイント3:通信制高校に向いているかを考える

それぞれ説明させていただきますね。

ポイント1:焦って選ばない

よくあるのが高校1年の1学期で退学してしまって、お母さんが焦ってしまって、周りの口コミだけで通信制高校を選ぶケースがあります。

そうなると、その高校が子どもに合うところなのかどうかわからないまま転校してしまうことになります。

実はこれが一番の原因なのです。

というのも不登校の子は周りの環境の影響を受けやすい傾向があります。
そのため、通っている高校が合わなくて転校したとしても、通信制高校の空気に合っていなかったということもあります。

例えば、Aさんのケースで、通信制高校に転校したものの、1年経ってから子どもがどんどん追い込まれたような状態なっていることに心配したお母さんから相談がありました。

で、話を聴いていったのですが、なぜなのかはわかりませんでした。

そこで、私の方から「今の通信制高校はどう選ばれたのですか?」と聴いてみると、「全日制の高校に行けなくなって、どうしていいかわからず、親戚が通学していたところ(通信制高校)を考えないまま決めてしまいました」と。

慌てて決めてしまったため、Aさんには合わない高校だったのです。
でも転校した手前、そのことをお母さんには言えず、Aさんが精神的に追い詰められていたということがわかりました。

そこで、私の方から通信制高校合同説明会があることを伝え、一度リセットすることを提案しました。

その結果、Aさんに合った通信制高校が見つかり、今は元気に登校しているとのことです。

ポイント2:子どもの気持ちを尊重する

また、こんなケースもあります。

中学校3年間、不登校になったB君はそのまま担任の先生やお母さんの勧めで通信制高校に進学しました。

しかし、課題はまったくやらず、スクーリングも親に促されて申し込みはするものの、布団から出ることなく欠席しました。

家でもダラダラ過ごすことが多く、「このままでいいのか?」とお母さんも不安になり、私のところへ相談に来られました。

話した結果、わかったことは、B君の中で学校へ行こうと思えるほど本人の意志がまだないということでした。

そこでお母さんはB君とどうするかを話し合った結果、「今はいけないからもう少しゆっくりしたい」と初めて訴えてくれました。

結局のところ、通信制高校は退学しましたが、
お母さんとは継続してB君のもつ意志を尊重しながら、その想いをはぐくむ方法を考えていきました。

その結果、B君の意志が言葉として、「まずは高卒認定を取りたい」と言ってきたため、塾に通い、無事に高卒認定を取得しました。

今は2年遅れで大学に入り、栄養士を目指して勉学に励んでいます。

このように、子どもにやらせようとするタイミングに子どもの気持ちが追い付かず失敗するケースもあります。
その場合は、あまり急いで考えず、まずは子どもの心の持ちようを一緒に考えていくことも必要でしょう。

ポイント3:通信制高校に向いているかを考える

また、そもそも通信制高校に向いていないというケースもあります。

通信制高校は基本は通信教材が届いて、自宅学習をし、レポートを提出し、スクーリングに出席し、認定試験に合格することで、単位を取得していきます。
「自分のペースで進められる」いう反面、「自分で勉強を進めなくてはいけない」ということでもあります。
そのため、ある程度方向性がしっかりとしたところがあっている子、サポートが必要な子には向いていないことがあります。

私の知っているケースでは、親が半分以上、課題を手伝ってようやく卒業した子がいました。
向いていない子が通信制に行くと、予定やスケジュールが立てられなくて、かえって子どもの持っているやる気をそいでしまっているだけの日々となってしまいます。

そうした子には、サポート校と併用するとか、単位制高校や定時制など、ある程度の枠があるところに進学した方が良かったかもしれません。

また、そもそも子ども自身に通信制高校まで行って高校卒業することに意味が見いだせないと、途中でつぶれてしまう可能性も高くなります。

その子自身がどうしたいのか、親としてはどうしてほしいのか、しっかりと話し合いながら、その子に合った進路先を選んでいくことが大事なのです。

まとめ

以上、不登校の子が通信制高校に進学する前に親が考えたい3つのポイントについてお話ししました。

通信制高校は本来、全日制の高校に行けない子が行くところではないのです。
高卒資格を取得するための、いわば手段の一つです。

だから、この記事を読んでいる方は、「通信制高校ならいけるだろう」と安易に考えずに、「この子が幸せになるためにはどんなことができたらいいか」という視点で考えていってほしいと思います。

その上で、今のお子さんが幸せに生きるための近道に通信制高校があれば、ぜひ話し合いながら歩んでいくことが大切なのです。

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田中 勝悟

みらぴか認定サポーター
大学院卒業後、スクールカウンセラー、心療内科、児童相談所、貧困層の就労支援のアドバイザーなど多くの領域で経験を積む。その傍ら2019年4月に「カウンセリングルームはぴっと」を開設。またオンラインスクール「不登校の親の学び場」を開講。5,000件を超える豊富な臨床経験から適切な助言を行うことで多くの親の共感を得る。また、エニアグラムを活用した見立て力の高さには多くの支援者から定評がある。著書に「不登校はチャンス」がある。

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