不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。
「不登校からひきこもった子の支援(3)昼夜逆転になる理由とNGな対応」で昼夜逆転のNGな関わり方についてお話ししました。
今回は、昼夜逆転を改善するために必要な関わり方や3つのステップについてお話します。
この記事を読めば、夜ずっと起きているわが子に対してどう関わっていけばいいのかが見えてくるようになりますよ。
昼夜逆転を改善するために必要なこと
昼夜逆転を改善するために一番必要なものってなんだかわかりますか?
親が甘やかさないこと?
家の環境を変える?
ネット環境を失くす?
それは・・・
子ども自身が「自分は昼夜逆転していること」を自覚することです。
とこんな話をすると、「え?普通や昼夜逆転しているって自覚がないの?」と驚く方もいらっしゃると思いますが、実は、これが一番大事なのです。
「不登校からひきこもった子の支援(3)昼夜逆転になる理由とNGな対応」でお伝えしたように、不登校の子の多くは学校に行けてないことに自責の念を抱いています。
そのため、常に気持ちが不安定だし、自責の念から自分自身を守るのに一杯いっぱいの状態です。
なので、昼夜逆転は「苦しい自分を守るために必死で夜に逃げている状態」とも言えます。
夜起きることでようやく自分を保っているのです。
そんな精一杯の状態だと、「あ、自分は昼夜逆転している」なんて自覚する余裕はないです。
だからこそ、まずは心に余裕が出て来て、「自分は夜ずっと起きているな」と気づくということが大事なのです。
そのための3つのステップについて以下、お話をさせていただきます。
ステップ1:ホッとできる環境を作る
不登校のお子さんの多くは、自責の念が強すぎて、お父さん・お母さんですら警戒していることがあります。
「子どものことを見守っている」と言っても、
「多分お父さん、お母さんは学校に行っていない自分のことを良くは思っていないだろう」
と子ども心にひしひしと感じています。
そんなことないと思われますか?
でも、ちょっとイメージしてみてください。
朝、お父さんは仕事に行く準備をしていて、お母さんは朝ご飯を作ったりして忙しい状態です。
また兄妹も制服に着替えたり、ランドセルに教科書を入れたりして、学校に行く準備をしていてとても慌ただしい状況。
自分だけ学校に行けないとしたら、どんな気持ちでしょうか?
居心地の悪さというか、息苦しさというか、申し訳ないというか、そんな感じがしてこないでしょうか?
この感覚は不登校の子どもの多くが感じているものです。
日常においても周りと異なる行動環境(雰囲気)が「学校に行ってない自分は悪いんだ」とつい考えたくなります。
その中で子どもながらに感じているんですよね。
「お父さん、お母さんは、心のどこかで学校に行ってほしいと思っているし、そうじゃない自分はダメな奴だと思っている」と。
日々の周囲環境の圧力から自分自身を追い込んでしまっています。
そのため心に余裕はなく、安心できる環境である夜に身を置くことでホッとしているのです。
まずは子どもがホッとするような雰囲気を作るための理解を深めていくことが大切です。
例えば、朝起きてきたら笑顔で「おはよう」と声をかけてみる。
また、何気ない雑談をしていく。
ただ、そこまでいかないという方もいます。
その場合は、「ああ、この子はすごいしんどい中で頑張っているんだ」と理解を深めていくことが大切です。
一人では難しいときは一度、
不登校に詳しいカウンセラーに状況を整理してもらうと、一気に理解できるようになります。
ただし、2~3ヶ月と時間がかかるケースもあるため、焦らずに「この子は今どういう気持ちで過ごしているんだろう?」と理解を深めようとする姿勢が大切になります。
ステップ2:雑談をたくさん増やす
親が理解を示すようになると、子どもは少しずつ日中起きている時間が長くなります。
この段階で、
「最近、昼夜逆転しているんだよね」「今日夕方まで寝ていた。一日損した」と伝えることもあります。
親が伝えることができる日常環境が子どものストレスを少しずつ感じることにつながり、親との距離感も縮まりつつあります。
この時に親子の雑談をたくさんしていくということです。
子どもが親に期待しているものは何でしょうか?
人生にとって大事なことを言ってほしいのでしょうか?
それは、将来どうするのかという話でしょうか?
答えは何気なくホッとできるような会話です。
不登校が改善されてくると、つい「そろそろ学校どうするの?」「このままでいい思っている?」と聴きたくなります。
でも、この段階でそんなことを言っても子どもはウッとプレッシャーを感じてしまいます。
その結果、「もういい!」と会話を打ち切ろうとすることもあります。
そうではなく、ここのタイミングでやってほしいのは、雑談や何気ない会話なのです。
ちなみに、ある中学生の子は、「親には勉強や進路のことではなく、一緒にドラマを見て、『この俳優良いね』『あ、この話好きだな』とか何気ない会話をしてほしかった」と言っています。
思春期の子にとっての雑談とは、赤ちゃんで言うところのスキンシップのようなものです。
つまり、親の愛情を伝えていくための手段なのです。
ぜひ、雑談を繰り返していき、子どもとの関係を深めていってくださいね。
ステップ3:子どもの思いを引き出していく
そうして親子の雑談が深まっていくと、段々と子どもの方から「こういう風にしたい」というのが出てきます。
その時にやってはいけないのは、「え?それは無理でしょ」という否定です。
もちろん、親としては素直に受け止められないこともあります。
例えば、子どもが「Youtuberで年収1,000万稼ぎたい」と言われると、親としてはつい否定したくなります。
そんなときは、「そうなんだ」「そうね」と相槌を打つことをお勧めします。
そうしているうちに、子ども自身で将来について考えるようになり、未来に向けて頑張りだすようになっていきます。
この頃になると、昼夜逆転が体質的に合っている子は別ですが、多くの子は改善していきます。
改めて、昼夜逆転とは昼に居場所がない子が夜に居場所を求めるようなものなのです。
だからこそ、昼に居場所を作っていくということが大切になります。
その作り方が、子どもがホッと過ごしていき、親子の雑談を増やしていくことで愛情を注いでいき、子ども自身が自分で考えて未来へ向けて動き出すようにしていくことなのです。
以上、簡単ですが、昼夜逆転の改善の仕方についてお話させていただきました。 皆様の参考にしていただけたら幸いです。
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田中 勝悟
みらぴか認定サポーター
大学院卒業後、スクールカウンセラー、心療内科、児童相談所、貧困層の就労支援のアドバイザーなど多くの領域で経験を積む。その傍ら2019年4月に「カウンセリングルームはぴっと」を開設。またオンラインスクール「不登校の親の学び場」を開講。5,000件を超える豊富な臨床経験から適切な助言を行うことで多くの親の共感を得る。また、エニアグラムを活用した見立て力の高さには多くの支援者から定評がある。著書に「不登校はチャンス」がある。
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