不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。
今回からひきこもり支援の原則についてお話をして行きたいと思います。
ただ、ここでのひきこもりは「不登校からひきこもったケースの対応」です。
社会人になってひきこもったケース、
不登校から10年以上もひきこもっているケース、
学校卒業してから社会に出ないままひきこもったケース
発達障害や精神疾患が背景に合ってひきこもっているケース
いろいろあります。
特に近年は8050問題と言って、50代、60代になっても社会から全く出れないまま、親が亡くなって生活保護を受けるケースも増えてきています。
年齢やきっかけ、背景によって、ひきこもりの支援の仕方は千差万別です。
全て網羅しようとすると、1週間くらいのセミナーになってしまうくらい膨大なものとなります。
なので、ここでは「不登校からひきこもった子のケース」に限定してお話をさせて頂きます。
ちなみに、不登校からひきこもりになった場合、圧倒的に多いのは、家庭での関りや働きかけが、不登校の子に合っていないケースがほとんどです。
そして、その背景にあるのは、「子どもを十分に理解していない」ことが圧倒的に多いのです。
なぜ、学校に行けなくなったのか?
学校に行けないことをどう感じているのか?
どう苦しんでいるのか?
この子なりに生きづらさは何か?
そうしたことを十分に理解できていないと、その子の状態にあった対応は出来なくなり、そして高い確率で悪化し、ひきこもりになってしまいます。
子どものことが理解できない状態で支援や働きかけをすると、こんな対応をしてしまう人がいます。
- 学校の校門まで行ってタッチして帰ってくる
- とりあえず保健室登校を促す
- 友達に無理やり合わせることで人に慣れさせる
- フリースクールや居場所に連れて行こうとする
- お手伝いをさせて、無理やり何かさせる
- とりあえず充電期間と思って見守っている
もし、こうした対応が子ども理解に基づいて「正解だ」と感じているのであれば、やってみることはOKです。
そうしたケースでうまく学校復帰につながった事例ももちろんあります。
ただし、子どものことが全く分からないままに本やセミナー、専門家のいうことを鵜呑みにしてやっているのだとすれば、ちょっと冷静に考えてみましょう。
この場合、「子どもとの関係性」という視点で見てみると良いと思います。
子どもの表情が暗かったり、またイライラが増えていたり、お母さんに当たり散らすことが増えてきたとしたら、それは赤信号です。
今すぐ辞めた方がいいでしょう。
もちろん、そうした働きかけで、日々頑張ろうとする意欲が出ているとすれば、そのやり方でも問題はありません。
で、何が言いたいかというと、支援や働きかけをする前に、子どものことを理解するということが大事だということです。
まずは、子どもの性格や困り感をしっかりと理解し、その子がどう思っているのかを把握することから勧めていくことが近道です。
子どもが一気に学校に行きだす方法なんてありません。
また、子どもと親が全く会話できないくらい悪い状態だと、親がいくら働きかけても子どもが変わることは出来ません。
特に部屋から全く出ず、食事もお風呂やトイレも親がいないときにしているような状態では、どんな支援をやっても効果はでないと思って頂いた方が良いでしょう。
ちなみに、ひきこもる子がなぜ部屋から出ないか、ご存知でしょうか?
その理由は、家の中が怖いからです。
親に何を言われるかわからない、こんな自分が情けない、社会の中で生きていくことができない・・・
そんなことを思っていると、家族の前にすら顔を出すのが怖くなります。
こういう事例がありました。
Aさんは中1で不登校になりました。
親は「なんで学校に行かないのか?」と繰り返し聴くのですが、Aさんは答えてくれません。
それからしばらくして部屋からでなくなり、お母さんが部屋まで持っていき、部屋の中で食べるようになりました。
お母さんも心配していましたが、専門家が「今は見守りましょう」と言っていたから、様子を見ておこうという感じになっていましたが、あまり変化はありません。
ある日、お母さんが洗い物をしていると、Aさんがリビングに降りてきました。びっくりしたのですが、Aさんはお母さんの顔を見るなり、慌てて部屋にかけ込んでしまいました。
お母さんからお話を伺っていると、次のことが見えてきました。
お母さんの中で「ずっと一生このままではないか」と常に心配されていたということです。
この気持ちは親としては至極当然のことです。
でも、親がそうした思いを持っていると、Aさんのように「責められている」「自分が悪いと思われている」と感じてしまい、それが怖さとなって部屋の中から出てこられなくなってしまうという事例は少なくありません。
この場合は無理やり外に出すよりも、お父さんやお母さんがAさんのしんどさを理解していき、まずは家の中でほっとできるような空間を作ることが必要になってきます。
だからこそ、子どもがどう感じているのか、今の状況をどう考えているのかをシッカリと理解することが大切なのです。
その上で、「どう関わっていけばいいかを考えていく」ということが大切なのです。
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田中 勝悟
みらぴか認定サポーター
大学院卒業後、スクールカウンセラー、心療内科、児童相談所、貧困層の就労支援のアドバイザーなど多くの領域で経験を積む。その傍ら2019年4月に「カウンセリングルームはぴっと」を開設。またオンラインスクール「不登校の親の学び場」を開講。5,000件を超える豊富な臨床経験から適切な助言を行うことで多くの親の共感を得る。また、エニアグラムを活用した見立て力の高さには多くの支援者から定評がある。著書に「不登校はチャンス」がある。
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