中学生になり、家庭学習が必要になっているのに、家で全く勉強しない様子を見ていると、今後のことが心配になったり、腹立たしく思ったりすることがありますね。
ここではなぜ中学生が勉強に向かえないのか、保護者がどうかかわっていけばいいのかについて考えてみます。
中学生が勉強しない理由とは?
子どもの学習環境や中学生の心境から、勉強をすることに意識がいかない、手につかない理由は、学習に関すること、思春期などで気持ちが不安定なことの二つが挙げられます。
勉強方法、学習内容がわからない
勉強しない学習に関する理由については以下のようなことが挙げられます。
- 家庭学習をする習慣がついていない
- 勉強方法や時間管理のスキル不足
- 学校の授業内容に興味が持てない
- 学習内容がわからない
親に言われなくても宿題はさっさとやるもの、という習慣があれば、ひとまず最低限の勉強はやれるはずですが、急に勉強を始めるのは難しいです。
そのような中で、中学生は、勉強方法や時間管理のスキルがまだまだ未熟なことも挙げられます。効果的な学習方法や時間を上手に使う方法を知らないことが、勉強が苦手意識となりやる気を失ってしまうことがあるようです。
特に英語や数学などは、1年生からの積み重ねを基に内容が深まってゆきますが、勉強を嫌がってやらない、学校での勉強の速度についていけないうちに、学習内容がますますわからず、結果的に「やらない」ことを選択してしまっています。
思春期で精神的に不安定である
小学生の時に家庭学習がある程度身についていても、中学生になり、勉強しなくなる子どももいます。思春期に入り、心身ともに大きな変化の時を迎え、「勉強どころではない」場合、あるいは中学入学で新しい環境になり、それに馴染むのに精一杯な場合もあります。本人は内面が安定せず苦しいのに、周りから見ると「勉強してない」という外側の部分だけが目に入る時もあります。
思春期の子どもの変化については、別稿
「中高生になったときに起きる子どもの変化」も参考にしてみてください。
中学生の勉強意欲を引き出す方法
保護者はどうしたらいい?
これらの勉強への意欲を引き出すために、どのようにしたらよいのかを親の役割も一緒に考えてみましょう。
勉強方法、学習内容を知っていく
興味関心のある分野から学習すること
子どもの勉強意欲を引き出すためには、子どもの興味関心のある分野に関連するところから学習してみることを提案することも一つです。
ある生徒は、英語・数学は苦手でしたが、社会がとても好きで、社会科で培った勉強方法や意欲が他教科にも反映されて、全体の成績もアップしてゆきました。
「中間試験では、まず自分の好きな科目に集中して勉強してみるのもいいと思うよ」などと伝えるだけでもいいですね。
前に戻って学習し直すこと
中学3年生や高校生との面談で、「中2でさぼったことがよくなかった」という声をよく聞きました。そんなときはどうしたらいいのでしょうか。それは「前に戻ってみる」ことです。もし高校受験があれば、中学2年生の終り頃から3年生で受験を意識した頃に有効だと思います。
勉強は前に前にと進むので消化不良を起こし、わからないのでやりたくないという場合もあります。「わからないからやりたくない」という様子が見えたら、「焦らずに前に戻ってみるのも一つだよ」とアドバイスしてみるのもいいですね。なお、勉強のサポートを塾にお願いする場合も、その目的をはっきりさせてからがいいと思います。塾については、「中学生は学習塾へ通うべき?塾通いの現状とメリット・デメリットを徹底解説」も参考にしてみてください。
思春期の精神的な支えを行う
学習の成果を褒めて励ます
自分の成果を認められることでモチベーションを高めることがあります。そのため、学習の成果を褒めて励ますことが重要です。子どもの頑張りや成長を見逃さず、積極的に褒めてあげましょう。
私は、定期試験などの結果、クラスでトップの成績を取った人や90点以上の人の名前を伝えるようにしていました。一教科だけだと、いつも聞き慣れた成績優秀者とは違う名前が出てくることもあります。するといつもより大きな称賛の声が上がり、本人もまんざらではない顔をして、自信をつけてゆくようです。
テストの結果だけでなく、少しでもいいなと思ったことは、言葉に出して伝えることも大切ですね。
家では、とにかく子どもたちには自信をつけて、楽しくしていて欲しかったので、すきをみては褒めていました。例えば、息子が“たいしたことないけどね”という雰囲気で「今回のテスト、まあまあいけてたかな~」などとつぶやくのに対して、聞き逃さず「そうなんだ~、やったね!」などと声掛けしたり、勉強にはあまり熱心でなかった娘が、得意の美術の作品で評価された時には「工夫したから、それが伝わったんだね」と一緒に喜んだりしていました。
思春期の変化を受けとめて、時を待つ
思春期の複雑な感情に振り回され、勉強そのものに興味を持てない場合もあります。
後になれば、なぜあの時できなかったのかと振り返ることができるのに、その時は難しい、だから時を待つしかないこともあるかもしれません。勉強だけがその子の人生にとって大切なわけではないので、ここは親も腹をくくり、不安定な子どもの話を聞き、味方になり、それが解決することを待つ以外にない時があるかもしれませんね。
私の家の息子は、中1と中2は、全くといっていいほど家で勉強する姿を見ませんでした。パワーのある学年で、色々もめごとが起きて、先生たちを困らせていましたが、出し切ったせいか、中3になると息子を含めて、全体の気持ちが一気に勉強に向かっていきました。
やる気スイッチは入れるのでなく、入るもの
これは「みらぴか 連載コラム『とんびがたか』#1 やる気スイッチの入り方」
に書かれていた言葉ですが、本当にその通りだと思います。
とんびさんのお嬢さんのスイッチが入ったのは、小4の時の応援団に立候補した時とのことです。そうなのです!「やる気スイッチ」は、勉強以外のところで入ることが多いように感じます。何か好きなことがみつかる、思い切っていつもと違う行動をとってみた、そんな勉強以外の場所での気持ちの変化や、意欲が、結果的に勉強にも影響してくる場面を沢山見てきました。
ある生徒は学校での授業や講演会に触発されて。
ある生徒は卒業生の姿に感動して、ある生徒は音楽や美術が好きなことに気づいて。
ある生徒は部活の責任者になって気づいて。
その入ったスイッチを親がつぶさないように、育ててあげることも時には必要だと思います。
まとめ
中学生が勉強しない理由は、大きく分けると①学習に関することと②思春期などで気持ちが不安定なことがあげられます。子どもは叱っても反発するだけです。主体は子どもです。親ができることは、まずは気持ちを受けとめ、話を聞き、できたことは褒めて、やりたいことは応援する。そして、困っていそうな時に、方法や取り組み方をサポートしてゆくことが大切ではないでしょうか。そうしているうちに、子どもは、自分の力で前に進んでゆき、笑顔と楽しそうな姿を私たちに見せてくれると思います。
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佐々木 伸子
みらぴか認定サポーター
大学卒業後は百貨店勤務。専業主婦の時代を経て、離婚をきっかけに35歳で教員に。以降、担任・学年主任・教頭などを経験し、多くの生徒・保護者の方の進路や親子関係について相談を受け、サポート行っている。定年後も事務長として、管理職・教員を支援する側になり、長く学校現場に関わっている。現在は再婚し、ステップファミリー(成人した子ども3人、孫5人)の母。
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