不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。
不登校の子どもの選択肢として、通信制高校をイメージされることが多いですが、昨今では定時制高校も視野に入れる人が増えてきています。
しかし、定時制高校ってあまり馴染みがない学校でもあります。一昔前は夜間高校のイメージが強かったため、不良や非行少年が行く学校、働いている人が通う学校の認識をお持ちの方も少なくないかと思います。
最近は不登校の進学先として注目されてきていますが、
じゃあどんな子が定時制高校に向いているのか?
通信制高校との違いは何か?
選ぶ際の注意点は何か?
そんな疑問について本記事ではお話をさせていただきます。
定時制高校ってどんなところ?
定時制高校とは勤労青少年のために1948年に発足した高等学校課程です。
一昔前は「夜間高校」と呼ばれていたところで、
夜に行くというイメージの方も多いと思います。
しかし、実際は
・夜の時間帯に授業を行う「夜間定時制」
・朝と昼の時間帯に授業を行う「昼間二部定時制」
・朝・昼・夜の時間帯に授業を行う「三部制」
と分かれている学校も多いです。
それぞれ1日4時間ほど授業があり、社会人として働きながら通う人、何らかの事情で高校に通うことができなかった人など幅広い年齢層の人が通う傾向があります。
また、昨今は不登校の子で全日制高校に通い続けるのは難しい子が通うことも多く入学しています。
そのため、通信制高校を含めて「不登校の子の進学先」として注目されています。
通信制高校との違いは何?
ここで疑問が出てきますよね。
通信制高校と定時制高校ってどう違うのだろう?と。
以下簡単に整理させていただきますね。
通信制高校
・基本は在宅学習。コースによっては週に1~5日通って授業を受けることもある。また学校によっては年5日のスクーリングに通うだけでも単位を取ることができる。
・レポートの提出や試験に合格することで単位認定される。
・サポート校との提携しているところもあり、そこで専門的な学習をしたり、少しずつ社会に慣れる練習をしていくカリキュラムを用意しているところもある。
定時制高校
・1日4時間、毎日登校しないといけない。登校時間は、朝・昼・夜間と選べるので、自身の体調やスケジュールに合わせて通学することが可能。
・出席日数と試験での成績で単位認定される。
・学校によっては商業や農業、工業など、専門学科を設けているところもあり、キャリアを考えながら選ぶ必要がある。
定時制高校はどんな子が向いているの?
このように通信制高校と定時制高校の一番の違いは、「毎日学校に行く必要があるか、ないか」になります。
なので、毎日学校に行くのがちょっとしんどいお子さんは定時制高校は難しいでしょう。
そうしたこの場合は、エネルギーが出て来て「これを頑張りたい」という意欲が出るまで進学を見送るか、サポート校と連携して少しずつ社会に慣れさせていくと言った選択肢を取った方がよいでしょう。
実際に家庭訪問からスタートしてくれるサポート校もあります。(費用はその分かかります)
反対に、「毎日学校に行くエネルギーはあるけど、全日制はしんどい、もっと自由な校風の中で頑張りたい」というお子さんであれば、定時制は向いてるとも言えます。
またエネルギーはあるけれども、起立性調節性障害で「朝起きられない」という子であれば、定時制高校で夜間の部に通いながら高校卒業資格を目指していくという手も有効です。
定時制高校を選ぶ際の注意点
定時制高校を選ぶ際に注意したいことがあります。
それは、やはり「校風」や「雰囲気」ですね。
不登校の子を多く受け入れている定時制高校であれば、同年代の子が多くいる傾向があります。
しかし、そうでないところであれば、年齢層の高い人や働きながら通うなど、いろんな幅の人が通うことになります。
もちろん、そうした中で人生観が大きく変わり、それが生きていく力につながる子もいるので悪いとは言えませんが、「みんなと同じように普通の高校生として過ごしたかった」という子にとってはしんどいかもしれません。
最近では、どんどん定時制高校も進化してきています。
ある高校では、株式会社を立ち上げて高校生が運営・経営していくことを通して社会の仕組みを学ぶなど、独自のモデルを作り上げている定時制高校もあります。
そのため、通信制・全日制含めて、お子さんと話し合い、実際に見学に行きながら決めていくことが大事です。
子どもが「ここだ!」と思えるまで応援していくという姿勢がとても大事です。
まとめ
今回は定時制高校についてお話をさせていただきました。
いかがだったでしょうか?
定時制高校は不登校の進学先として注目されていますが、「外に一歩も出れない」「居場所に行くのが精いっぱい」というお子さんだと通学し続けるのは難しいかもしれません。
ただ、進路選びのポイントは「子どもがワクワクするかどうか」です。
定時制高校も本当にいろんなところが増えて来ているので、親子で楽しみながら探していくことが大事ではないかと思います。
今回は「あ、通信制以外にもこういうところもあるんだ」という感じで読んでいただければ幸いです。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
これまで、通信制高校についてのコラムを掲載していますので、
こちらもよかったら参考にしてみてください。
<今までの記事>
不登校の中学生の進路(1)通信制高校のメリット・デメリットとは?どんな高校か解説します
不登校の中学生の進路(2)通信制高校に進学する前に親が考えたい3つのポイント
不登校の中学生の進路(3)私が「通信制高校に行かせたい」と言ったお母さんをとめたワケ
よければみなさんのお悩みや不安なことがあれば気軽に話してみませんか?
お試しで30分からお話しいただくことができます。
以下のLINEに友だち登録いただき、オンライン相談についてチャットをいただければ、時間の調整もすぐにできますので気軽にご連絡ください。
田中 勝悟
みらぴか認定サポーター
大学院卒業後、スクールカウンセラー、心療内科、児童相談所、貧困層の就労支援のアドバイザーなど多くの領域で経験を積む。その傍ら2019年4月に「カウンセリングルームはぴっと」を開設。またオンラインスクール「不登校の親の学び場」を開講。5,000件を超える豊富な臨床経験から適切な助言を行うことで多くの親の共感を得る。また、エニアグラムを活用した見立て力の高さには多くの支援者から定評がある。著書に「不登校はチャンス」がある。
お子さまの不登校、発達障がいについてお悩みの方は田中さんに相談してみませんか