子育てアカデミー

不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。
これまで不登校の子を持つ保護者様を中心にカウンセリングをしてきました。
ここ最近になって、不登校の子どもの進路先も大分充実してきたなと思います。ただ、多くのお母さんから「子どもが不登校になってどういう進路があるのか?」と言う相談を受けることも多いです。「高校に行けるのだろうか」と不安を感じる保護者の方も多いのではないでしょうか?
そのため、このコラムでは、不登校の子どもの進路についてお話をしていきます。
まずは通信制高校について解説をします。

1.高校には3つの教育課程がある

まず、中学校を卒業した後の教育課程として多くの子ども達が「高校進学」を選びます。
文部科学省の令和3年3月の「高等学校教育の現状について」という資料によれば、令和2年で95.5%の子が高校進学を選択しています。

教育課程で3つに分かれており、全日制・定時制・通信制があります。
内訳ですが、全日制高校に進学する割合が91.3%、定時制が2.4%、通信制は6.3%となっています。

通信制高校の生徒には、不登校経験者が多いというデータがあります。
文部科学省「平成29年度委託調査研究報告書 定時制・通信制高等学校における 教育の質の確保のための調査研究」によると、小学校・中学校及び前在籍校で不登校だった生徒の数は狭域通信制高校で48.8%、広域通信制には66.7%のという数値が出ています。

※狭域通信制高校:学校所在地の1都道府県のみあるいはその隣接する1つの都道府県に在住する生徒を対象として募集を行う高校。
広域通信制高校:学校所在地の1都道府県とその他2都道府県以上の地域に在住する生徒を対象として募集を行う高校。全国を対象する高校もあれば、特定の都道府県に限っている高校もある。

他にも、通信制高校はスポーツ選手やアイドル、芸能人、中学校で起業して忙しくて学校に行けない子も進学することがあります。
例えば、プロテニス選手や有名な棋士、アイドル、女優も通信制高校出身です。

なので、色んな方が通うのが通信制高校です。
では、そういった通信制高校とはどんなところなのでしょうか?

2.通信制高校とは?

通信制高校とは通信教育によって単位を取得する高校を指します。74単位、3年間以上の在籍で高校卒業資格が得られます。

基本は通信教材が届いて、自宅学習をし、レポートを提出し、スクーリングに出席し、認定試験に合格することで、単位を取得していきます。

なお、スクーリングについては、通学型と集中型、合宿型に分かれます。
それぞれ説明しますね。

通学型
通学型は週1~5日スクーリングを行います。ほぼ全日制高校と同じ形です。
地域密着型の通信制高校ではこのスタイルを取っていることが多いです。通学する曜日を決めて、所定の日に通学し、授業を受けます。

集中型
夏や冬、GWなど連続して休暇が続く期間に集中してスクーリングを行います。都市部で会場を設けて、そこで集中して授業を受けます。年に数回程度開催されるので、自身のスケジュールに合わせて調整できるというメリットがあります。

合宿型
合宿型は名前の通り、合宿で集中型よりも短期間でスクーリングするタイプです。数日かけて泊りがけで行われるのですが、交通費や宿泊費が別途かかる為、経済的な負担がかなり大きいというデメリットがあります。

通信制高校には公立と私立があり、基本的に公立は狭域型が多く、通学型のスクーリングを行っていることが多いです。
一方で、私立では広域型と呼ばれるところも多く、集中型や合宿型の形式をとることも多いです。

詳しい教育課程については通信制高校によって異なるので、事前に高校に問い合わせるか、通信制高校合同説明会に参加して確認してみることをお勧めします。

3.通信制高校のメリットとデメリット

通信制高校のメリットとデメリットについてお話します。

メリット
・全日制の時間設定されるカリキュラムよりも自由な時間が持ちたい子どもは、合う可能性が高い
・働いたり、高校の勉強以外ではできないことをやりたいという子には向いている
・毎日、学校に行き1日中授業を受けるなど、全日制高校ではしんどいという子は、通信制から慣れていくというのは有効。
・中学校生活では学業等で疲れてしまい、自分と向き合う時間が必要な子には通信制のゆったりしたカリキュラムが合っていることが多い。
・サポート校と組み合わせることで、少しずつ社会との接点が持てるケースもある。
・入試も作文と面接だけであることが多いので、受験へのハードルが少ない。

デメリット
・授業内容は基礎的なものが多く、大学受験を考えている場合は、通信制高校のカリキュラムだけでは難しいことも少なくない。もちろん、大学進学用のカリキュラムを用意している通信制高校もあるが、予備校や塾と併用している人は多い。
・本人の自主性が求められる。本人のモチベーションが低いと、全く課題を取り組むことができず、親や周りが手伝って卒業したケースもあることからも、進学前に子どもの思いをしっかりと聴いておくことが大事。
・精神状態が不安定な子に対して、自由な時間のある通信制高校だけでは改善は難しい。その場合はサポート校との併用をしていくことで回復していくケースがある。
・知的障害を持っている子など、通信制高校ではサポートしてくれないことが多いので、教材を理解することが難しい場合は授業に取り残されて退学となる場合がある。

ざっと上げてみましたが、全日制・定時制・通信制のどれを選んでもメリットとデメリットはあります。

大事なのは、親子でしっかりと話し合って、その上でその子に合った進路を見つけていくことだと思います。

4.まとめ

以上、通信制高校について書かせていただきました。

いかがだったでしょうか?

ただ、不登校支援の現場では、通信制高校選びに失敗した結果、さらに精神状態が悪化し、不安定になり、自傷行為をしたり、うつ状態になった子もいます。

「不登校だから通信制高校」ではなく、「この子の良さを活かせるから」と前向きに子どもと話し合って高校選びをして行くことが大切です。

次回は、そうした通信制高校の選び方について、私の経験からお話させていただきます。

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田中 勝悟

みらぴか認定サポーター
大学院卒業後、スクールカウンセラー、心療内科、児童相談所、貧困層の就労支援のアドバイザーなど多くの領域で経験を積む。その傍ら2019年4月に「カウンセリングルームはぴっと」を開設。またオンラインスクール「不登校の親の学び場」を開講。5,000件を超える豊富な臨床経験から適切な助言を行うことで多くの親の共感を得る。また、エニアグラムを活用した見立て力の高さには多くの支援者から定評がある。著書に「不登校はチャンス」がある。

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