子育てアカデミー

不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。
前回の記事でゲーム依存についてお話させていただきました。
→「不登校からひきこもった子の支援(5)ゲーム依存になる理由とその原因とは?

今回の記事では、ゲーム依存を回復させる3つのステップについてお話していきます。

この記事を読めば、ゲームに没頭しているわが子に対してどう向き合えばいいのかが見えてくるようになりますよ。

1.ゲーム依存回復に一番NGなやり方

一番良くない対応方法の一つは、ゲームやPCを無理やり取り上げることです。

ちなみに、復学支援の対応では、「ゲームを取り上げる」「ネットをさせない」といった対応を推奨しているところが結構あります。

中には、「子どもが何と言っても、親は毅然とした態度でゲームやネットをさせないようにしましょう」と言っている専門家もいます。

もちろん、この方法が合っている子どももいるでしょう。
結果として、子どもがわがままを言わなくなり、自分から学校に行ったという声を聴くことも多いです。

ただ、私の印象では、この対応を取った結果、親子関係が悪化してしまうケースは少なくありません。

学校に行ったものの、却って子どもが家の中で荒れるようになってしまい、「こんなことなら無理して学校に行かさなければよかった」と嘆いているお母さんも多いです。

なぜこうなるのかは、前回の記事「不登校からひきこもった子の支援(5)ゲーム依存になる理由とその原因とは?」で書いた通り、子どもがなぜゲームやネットに依存するのかを理解しないまま対応したからだと思います。

その結果、ゲーム依存は改善したかもしれませんが、親子の関係性や家庭環境などはボロボロとなっているのではないかと考えられます。

そのため、まずは、子どもがなぜゲームに没頭しているのか、その背後にある苦しみを理解していき、その上でどう親としてその苦しみを取り除いていくかといった対応が大切なのです。

そのやり方についての3つのステップをご紹介させていただきますね。

2.ステップ1:ゲームしかできない子どもの苦しみを理解する

いきなりですが、ちょっとイメージしてください。

例えば、あなたが上司からのパワハラで心身を病んでしまって、会社に行けなくなってしまい、毎日毎日ゲームやネットを見るしかない毎日を過ごしていたとします。
「このままじゃダメだ」と思う反面、「求職活動をしたらいいのはわかっているけれど、また同じような目に遭ったらどうしよう?」とぐるぐる考えてしまい、結果として動けない毎日です。
気づけば、その状態が半年続き、さらにゲームをするだけの毎日です。

人によっては「甘えているだけ」「サボっているだけ」と言うかもしれません。

でも、こう考えてほしいのです。

この状態を本人はどう思っているのか?と。

もちろん、十分満足しているという方もいるかもしれません。
ただ、本人が現状に満足していないということも少なくないのです。

また、こうした状態の時に、周りから「まずは自分で動かないと解決しないよ」と正論を言われると、そうした人の言葉が苦しくなってしまうため、人と会おうともしなくなるでしょう。

実はこれはゲームに没頭するだけの日々を送っている不登校の子どもの気持ちと同じなのです。

「このままではダメになるのはわかっている」と思う反面、「でも、どうしたらいいかわからない」という中で、憤りのない感情から頭の中を真っ白にするために、ゲームをするしかない状態なのです。

まずはそうした気持ちを理解していくことが第一歩となります。

人は理解をしてくれない相手にはまず心を開きません。

そのため、親や支援者が「ゲームしかできない子どもの気持ちをどう理解し続けるのか」ということがとても大事です。

まずはそこから始めていきましょう。

3.ステップ2:子どもの話を聴いていく

親がその子の苦しさを理解できてくると、「見守る」ことができるようになってきます。

ちなみに、「見守る」とは何もしないということではありません。

親という感じは「『木』の上に『立』って『見』る」と書きますよね。
この真意は、「子どもの気持ちや成長を理解して、尊重しながら見守っていく」ということです。

「この子はいったいどんな気持ちでゲームに没頭しているのか?」

そういったことのイメージを膨らませながら見ていると、それは「見守る」ということになります。

「見守る」姿勢が親に出てくると、子どもの方から「ねえねえ、お母さん」と話をしてくるようになります

この状態まで進展した段階で
やってほしいことは、子どもの話を聴いていくということです。

特に不登校やひきこもりに至った子の多くは、親を警戒しています。

「多分、学校に行けとか言うんだろうな」
「私のことをダメな子だろうって思っているんだろうな」

そんなことを考えているのです。

それを取り払う行動が「理解する」「子どもの話を聴く」なのです。

この行動を続けていき、親子の信頼関係を紡いでいくということを心掛けてみてください。

4.ステップ3:家の中に居場所を作る

ゲーム依存の改善方法は「ゲーム以外にも居場所を作る」ということ。

ただ、単純に作ればいいというわけではなく、子どもが「あ、外に出ても大丈夫だ」と思えるようになってくることが大切です。

そのため、まずは親が子どもを理解して歩み寄り、子どもの話を聴いていくことで信頼関係を築き直していくということが大切なのです。

そうすると、徐々にリビングで過ごす時間が増えてきます。

親子関係が良くなってくると、子どもが自分に向き合っていくようになります。

周囲の人たちの視線を気にして、抵抗することにエネルギーを使うのではなく、自分の将来に目を向けた考えや行動にエネルギーを使うようになっていくのです。

そうなっていくと、少しずつゲームに依存する量は減っていきます。

もちろん、いきなり急にゲームやネットをしなくなるということはないのですが、子ども自身が将来に目を向けて行動していく中で、ゲームやネットに依存する必要がなくなっていくのです。

私もカウンセリングを通して、多くのお子さんがゲーム依存から脱却していく姿を目にしてきました。
改めて、脱却というよりは、ゲームに依存するしかない状態から「依存しなくても良い状態」になったというのが正しい表現かもしれません。

これは段階を経て親子関係が改善していくことで、子どもたち自身が将来の自分に目を向けることでき、生きていく力を伸ばしていくということが大きいと思います。

ゲーム依存になる原因から改善方法についてお伝えしてきました。
皆様の参考になれば幸いです。

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田中 勝悟

みらぴか認定サポーター
大学院卒業後、スクールカウンセラー、心療内科、児童相談所、貧困層の就労支援のアドバイザーなど多くの領域で経験を積む。その傍ら2019年4月に「カウンセリングルームはぴっと」を開設。またオンラインスクール「不登校の親の学び場」を開講。5,000件を超える豊富な臨床経験から適切な助言を行うことで多くの親の共感を得る。また、エニアグラムを活用した見立て力の高さには多くの支援者から定評がある。著書に「不登校はチャンス」がある。

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